社長の本を出版するならどれ?商業出版・自費出版・電子書籍・PODを徹底比較!

社長の本を出版 一人社長ブログ
この記事の監修者・著者

2006年に合同会社を設立。2008年に株式会社へ組織変更。社員2人〜4人の小さな会社を5年経営後、一人会社・一人社長となり15年。

WebとAIを活用して様々なスモールビジネスを展開中。集客の仕組み化が得意。一人会社・小さな会社の社長さんの支援実績も豊富で、日本全国にクライアントがいます。

小南邦雄(一人社長・一人会社研究家)をフォローする
  1. はじめに:本を出版しませんか?
  2. ただの本じゃない!出版は、会社を成長させる「戦略的資産」である
    1. 1. あなたのビジネスを加速させる!戦略的出版の「6つの力」
    2. 2. 出版の本当の価値は「印税」ではない
  3. 4つの出版方法、まずは全体像をつかもう!
  4. 商業出版 vs 自費出版:夢と現実、その舞台裏
    1. 1. 憧れの「商業出版」、その厳しすぎる現実
    2. 2. その商業出版、本当にタダですか?「著者買取」のウラ側
    3. 3. すべては自分次第!起業家としての「自費出版」
    4. 【まとめ】「商業出版=無料」は幻想かもしれない
  5. デジタルの光と影:「電子書籍」をどう使いこなすか?
    1. 1. 電子書籍ならではのメリット:スピード、リーチ、収益性
    2. 2. 「安っぽさ」の罠:素人っぽさがブランドを傷つける
    3. 3. 小さな会社の社長のための、賢い電子書籍活用術
    4. 【まとめ】電子書籍は「本」ではなく「デジタル製品」と心得よ
  6. 中小企業の救世主!「POD(プリント・オン・デマンド)」完全ガイド
    1. 1. PODってどんな仕組み?
    2. 2. PODの圧倒的なメリット:在庫ゼロがもたらす自由
    3. 3. もちろんデメリットもある:知っておくべき制約
    4. 4. 流通の現実:主戦場はネットで、本屋の棚には並ばない
    5. 5. 気になるコストと儲けの話
    6. 【まとめ】PODは出版を「製造業」から「サービス業」に変える革命
  7. 結論:出版はゴールではない。最強のビジネスツールを手に入れる「始まり」だ

はじめに:本を出版しませんか?

社長業をしていると、こんな魅力的な電話やメールが届くことはありませんか?その言葉に心が躍るものの、多くは高額な費用がかかる「自費出版」の営業です。つい気持ちが大きくなって契約し、後から大きな出費に頭を抱える…なんてケースも少なくありません。

一方で、書店に並ぶ華やかな「商業出版」は、無名の社長にとっては非常に狭き門。最近では、商業出版でも「著者買取」という形で費用負担が発生する話もよく耳にします。

では、手軽に始められるAmazonの「電子書籍」はどうでしょう?誰でも簡単に出版できるイメージですが、ただ出しただけでは期待した効果は得られにくいのが現実です。

そこで今、注目したいのが第四の選択肢、「POD(プリント・オン・デマンド)出版」です。Amazonでは通常の本と同じように販売され、書店での取り寄せも可能だと聞きます。

この記事では、そんな悩める社長のために、それぞれの出版形態を徹底的に比較・解説します。

こんな疑問を持ってる方にもおすすめの記事です。

  • そもそも、社長が本を出す目的って何?どんな効果があるの?
  • ぶっちゃけ、どれくらい儲かるの?無名の社長の本って何冊売れる?
  • 出版形態によって、費用や効果はどう違うの?
  • もう本屋で本を買わない時代、Amazonで買えるPODで十分じゃない?
  • POD出版のメリット・デメリットを詳しく知りたい!

ただの本じゃない!出版は、会社を成長させる「戦略的資産」である

まず、考え方をアップデートしましょう。本を出すことは、記念品作りや印税稼ぎがゴールではありません。

特に、リソースの限られた一人社長や小さな会社の経営者にとって、**書籍は非常にパワフルな「マーケティング・ブランディング投資」になるのです。

どの方法で出版するか(How)を考える前に、なぜ出版するのか(Why)を明確にすることが、成功への絶対条件です。

1. あなたのビジネスを加速させる!戦略的出版の「6つの力」

本がもたらす効果はたくさんありますが、特にビジネスの根幹を強くする「6つの力」をご紹介します。

①専門家としての「権威」を確立し、ブランド価値を高める

ブログやSNSでの発信も大切ですが、「本」というメディアが持つ信頼性はケタ違いです。一冊の本を出版するだけで、あなたはその分野の第一人者として認識され、会社全体の信頼性も一気に高まります。

これは「あの会社の社長さん」から「〇〇の専門家」へと、あなたのポジションを劇的に変える力を持っています。

②「質の高い見込み客」を自動で集める

書籍は、究極の「リードマグネット(見込み客獲得ツール)」です。あなたの知識や考えに共感した、熱量の高い潜在顧客だけを引き寄せてくれます。

実際に、本を読んで問い合わせてくるお客様は、すでにあなたの会社のファン。話が早く、驚くほどスムーズに高額契約につながるケースも少なくありません。

③価格競争から抜け出す、最強の「名刺」になる

周りを見渡せば、同じようなサービスや商品ばかり。そんな価格競争から抜け出すための切り札が本です。あなたの会社の歴史、情熱、他社にはない独自の価値を、どんなパンフレットよりも深く、熱く伝えることができます。

例えば、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)への編入サポートに特化したある企業は、非常に専門的な本を出版することでライバルとの圧倒的な差別化に成功し、その市場で独占的な地位を築きました。

④「優秀な人材」を引き寄せ、組織を一つにする

本は採用活動や社内教育にも絶大な効果を発揮します。採用候補者に渡せば、あなたの会社のビジョンやカルチャーが深く伝わり、「この会社で働きたい!」という強い動機付けになります。

社内では、経営理念を全社員に浸透させる「会社の憲法」のような役割を果たし、チームの一体感を高めてくれるでしょう。

⑤テレビや雑誌から「取材依頼」が舞い込む

メディアは常に「信頼できる情報」と「面白いネタ」を探しています。本を出版しているという事実は、あなたが信頼できる専門家であることの何よりの証明。テレビ出演や雑誌の取材、講演の依頼が舞い込む強力なきっかけになります。

⑥執筆プロセスが、自社の「強み」を再発見させる

意外と見落とされがちですが、本を書くという作業は、自分自身のビジネスを深く見つめ直す最高の機会です。自社の価値は何か、顧客は誰か、ライバルとの違いは何か。これらを体系的に整理し、言葉にしていく過程で、新たなビジネスのヒントや、より強固な経営戦略が見えてくるはずです。

2. 出版の本当の価値は「印税」ではない

ここで重要なのは、出版の投資対効果(ROI)を印税だけで考えないことです。無名の著者が商業出版で1万部売れても、印税収入は150万円程度が目安です。

しかし、その本がきっかけで数千万円の契約が1本決まったらどうでしょう?ROIは比較になりません。

「何冊売れるか?」ではなく、「この本という資産で、どの事業目標を達成するか?」という視点を持つこと。これが、あなたに最適な出版方法を選ぶための最も重要なカギとなります。

4つの出版方法、まずは全体像をつかもう!

さて、ここからは具体的な出版方法を見ていきましょう。詳細に入る前に、まずは4つの選択肢の基本情報を整理します。

  • 商業出版
    出版社が「この本は売れる!」と判断し、制作から流通までの費用をすべて負担する王道のスタイル。社会的信頼性や権威性が最も高く、多くの著者が憧れる道です。
  • 自費出版
    著者がすべての費用を負担し、出版社や制作会社に本の制作を依頼するスタイル。内容は自由に作れますが、金銭的なリスクと在庫をすべて自分で抱えることになります。
  • 電子書籍出版
    自分で書いた原稿をデジタルデータにし、Amazon Kindleなどのプラットフォームで販売するスタイル。初期費用がほぼゼロで誰でも始められますが、流通はオンライン限定です。
  • POD(プリント・オン・デマンド)出版
    オンラインで注文が入るたびに、1冊ずつ印刷・製本して読者に届けるハイブリッドなスタイル。「在庫ゼロ」というデジタルの利便性と、「紙の本」というモノとしての価値を両立できます。

商業出版 vs 自費出版:夢と現実、その舞台裏

ここでは、最も伝統的で、かつ大きな決断が求められる2つの方法を、シビアな現実と共に比較します。「商業出版」という華やかな世界の裏側と、「自費出版」という起業家的な挑戦のリスクを、しっかり見ていきましょう。

1. 憧れの「商業出版」、その厳しすぎる現実

そもそも企画が通らない

まず知っておくべきは、無名の中小企業経営者が商業出版の契約を勝ち取るのは、宝くじに当たるようなものだということです。

出版社はビジネスです。売れる見込みのない本に投資はしません。すでにSNSで多くのフォロワーがいる、メディアで有名、といった影響力を持つ人や、誰も思いつかなかったような画期的な企画でなければ、まず相手にされません。

商業出版できる確率は、1000人に3人程度とも言われています。

失われる「コントロール」と「スピード」

もし幸運にも契約できたとしても、代償はあります。本のタイトル、表紙デザイン、内容の細部、そして出版時期まで、ほとんどの決定権は出版社にあります。自分の思い通りには進みません。

また、契約から出版まで1〜2年かかることもザラで、ビジネスのスピード感とは合わないかもしれません。

最大の魅力は「全国の書店に並ぶ」こと

それでも商業出版が魅力的なのは、全国の書店に自分の本が並ぶという、他には代えがたいメリットがあるからです。この「書店に流通する力」こそが、商業出版の最大の権威性の源泉と言えるでしょう。

2. その商業出版、本当にタダですか?「著者買取」のウラ側

ここが最も重要で、あまり語られない話です。特に初めて本を出すビジネス書の著者に対して、出版社が「商業出版」という言葉を使いながら、実質的な費用負担を求めてくるケースがあります。それが「著者買取」です。

曖昧になる「商業」と「自費」の境界線

出版社はリスクを減らすため、著者に対して「出版条件として、〇〇部を買い取ってください」と持ちかけます。例えば、300部から1,000部ほどを定価の割引価格で著者が購入するのです。

知らないと損する、金銭的なインパクト

これにより、「無料」のはずだった出版が、数十万〜数百万円の自己負担に変わります。例えば1,000部の買取で130万円以上の費用が発生することもあります。

さらに恐ろしいのは、買い取った分の本には印税が支払われないのが一般的だということ。結果的に、買取費用が将来もらえる印税の総額を上回り、赤字になってしまうケースも少なくないのです。

「戦略的購入」か「危険信号」かを見極める

もちろん、経営者が自分のクライアントに配るために、自発的に本を買うのは有効な戦略です。しかし、出版社から契約の必須条件として買取を提示された場合は、話が別。

それは「この本が市場で売れる自信があまりない」という出版社の本音の表れかもしれません。注意深く見極める必要があります。

3. すべては自分次第!起業家としての「自費出版」

自由と責任は表裏一体

自費出版では、あなたがプロジェクトの最高責任者です。編集者やデザイナーも自分で選び、内容もデザインも100%思い通りに作れます。しかし、そのクオリティと結果に対する全責任も、あなたが負うことになります。

覚悟が必要な「初期投資」と「在庫リスク」

この方法は、最初にまとまったお金が必要です。

もちろん、最近では数十部といった小ロットから10万円台で制作することも可能ですが、プロのサポートを受けて数百部を印刷し書店流通まで考えると、費用は数十万円から、場合によっては200万円を超えることも珍しくありません。

そして、もし本が売れなければ、その費用はすべて損失となり、自宅やオフィスは在庫の段ボールで埋め尽くされることになります。

越えられない「流通の壁」

自費出版の最大の弱点がこれです。自費出版した本を、大手書店の目立つ場所に置いてもらうことは、ほぼ不可能です。たとえ置けたとしても、高額な手数料を要求されることがほとんど。

結局、販売の大部分は、著者自身のSNSやセミナーでの手売りなど、地道な努力に頼ることになります。

【まとめ】「商業出版=無料」は幻想かもしれない

「商業出版」と一口に言っても、出版社が全リスクを負う「本物の商業出版」から、著者買取によって実質的に費用を負担する「ハイブリッド型」まで様々です。「商業出版」という言葉の響きだけで判断するのは非常に危険です。

もしオファーが来たら、「著者買取」の条項をしっかり確認しましょう。そして、総額でいくら費用がかかるのかを計算し、自費出版やPOD出版のコスト、そして得られる自由度と比較検討することが、賢明な経営者の判断と言えるでしょう。

比較項目商業出版(買取なし)商業出版(買取あり)従来型自費出版
あなたの初期費用0円中〜高(例:50〜300万円)高(例:150万円〜)
内容やデザインの自由度低い低い完全に自由
得られる権威性・信頼性非常に高い非常に高い
本が届く範囲全国書店+オンライン全国書店+オンライン自分で頑張る+オンライン
出版までにかかる時間長い(1〜2年)長い(1〜2年)中程度(6〜9ヶ月)
儲け(印税/利益率)低い(5〜10%)非常に低い(赤字リスク大)高い(ただし初期費用を回収できるかが勝負)
社長が負う最大のリスク企画が通らない、内容を自由に決められない買取費用で大損する可能性印刷費、在庫、売れないこと

デジタルの光と影:「電子書籍」をどう使いこなすか?

ここでは、電子書籍を単なる「紙の廉価版」ではなく、独自のメリットと、ビジネスで使う上で無視できないリスクを併せ持つ、独立したツールとして分析します。

1. 電子書籍ならではのメリット:スピード、リーチ、収益性

誰でも、すぐに、無料で始められる

AmazonのKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)を使えば、実質コストゼロで誰でも出版できます。これは最大の魅力です。

思い立ったらすぐ出版!驚異的なスピード感

企画から出版まで数年かかる紙の本と違い、電子書籍なら数週間、早ければ数日で出版が可能です。市場のトレンドに合わせたスピーディーな情報発信ができます。

驚きの高印税率

商業出版の印税が5〜10%なのに対し、Kindleの印税率はなんと35%または70%。本の単価は低めですが、1冊あたりの利益は非常に大きいのが特徴です。

2. 「安っぽさ」の罠:素人っぽさがブランドを傷つける

手軽さが招く「品質のワナ」

誰でも簡単に出版できるということは、裏を返せば、質の低いコンテンツも大量に溢れているということです。その結果、「どうせ個人が出した電子書籍でしょ?」と、あなたの本もその他大勢の低品質な本と同じように見られてしまうリスクがあります。

素人が作ったような表紙や、誤字脱字だらけの文章は、あなたの会社のブランドイメージを大きく損ないかねません。

読者は見ている「プロ感」のなさ

残念ながら、多くの読者は「電子書籍は、プロの編集者がチェックした紙の本より信頼性が低い」と感じています。実際、専門家の間でも、個人の電子書籍出版は「出版実績」とは見なされないのが現状です。

「安っぽさ」を克服する唯一の方法:プロへの投資

この問題を解決する鍵は、プロの編集者とデザイナーに投資することです。商業出版された本と見間違うほどクオリティの高い電子書籍は、読者に信頼感を与え、あなたのブランド価値をしっかりと守ってくれます。

3. 小さな会社の社長のための、賢い電子書籍活用術

  • リードマグネット(見込み客獲得ツール)として
    無料で、あるいは数百円で電子書籍を提供し、メールアドレスと引き換えにダウンロードしてもらう。質の高い見込み客リストを効率的に構築できます。
  • 市場調査ツールとして
    いきなり大金を投じて紙の本を作る前に、まずは電子書籍でコンセプトを試してみる。読者の反応を見て、本当にニーズがあるのかを確かめることができます。電子書籍で売れた実績があれば、それを武器に商業出版の企画を持ち込むことも可能です。
  • 既存コンテンツの再利用
    これまで書き溜めたブログ記事やメルマガを一つにまとめるだけで、最小限の労力で新しいマーケティングツールを生み出せます。

【まとめ】電子書籍は「本」ではなく「デジタル製品」と心得よ

電子書籍を成功させるには、それを「デジタル製品」として捉える発想が不可欠です。つまり、中身の文章だけでなく、読書体験(読みやすいレイアウト、美しいデザイン、誤字脱字のなさ)の質が、その価値を大きく左右します。

Amazonの出版ガイドラインには、画像の解像度が低い、リンクが切れているといった、ユーザー体験(UX)に関する注意点が数多く記載されています。多くの個人出版の電子書籍がこの点で失敗しているため、読者はフォーマット自体に「素人っぽさ」を感じてしまうのです。

社長であるあなたは、単にWordファイルをアップロードするのではなく、プロダクトマネージャーのように制作に臨むべきです。

出版コストはゼロでも、あなたの会社のブランドイメージを守り、高めるための「制作予算」はゼロではありません。プロの編集者、デザイナーへの投資は、ブランドを大切にする経営者にとって、必要不可欠な経費なのです。

中小企業の救世主!「POD(プリント・オン・デマンド)」完全ガイド

お待たせしました。このセクションでは、これまでの出版方法が抱えていた多くの課題を解決する、革新的な選択肢「POD」を徹底的に解説します。

1. PODってどんな仕組み?

仕組みは驚くほどシンプルです。

  • あなたが印刷用の本のデータ(PDFなど)をAmazon KDPのようなサービスにアップロードします。
  • あなたの本がAmazonのサイト上で、他の本と同じように販売されます。
  • お客様が「購入」ボタンをクリックします。
  • その注文を受けてから、工場で1冊だけ本が印刷・製本されます。
  • 完成した本が、工場からお客様に直接発送されます。

これだけです。あなたは一度も在庫に触れる必要がありません。

2. PODの圧倒的なメリット:在庫ゼロがもたらす自由

メリット1:初期費用がほぼゼロ

これが最大のメリットです。従来型の自費出版で必要だった、数百万円もの印刷費用が一切かかりません。出版における最大の財務リスクから解放されます。

メリット2:在庫を置くスペースも管理も不要

オフィスの隅や自宅を在庫の段ボールが占領する…なんてことはもうありません。保管コストも、梱包・発送といった面倒な手間も一切不要です。

メリット3:「品切れ」も「絶版」もない、永遠のマーケティングツール

PODの本は、データが存在する限り、半永久的に販売し続けることができます。コストのかかる増刷も必要ありません。一度作れば、何年にもわたってあなたの会社の価値を伝え、見込み客を連れてきてくれる、まさに「資産」となるのです。

3. もちろんデメリットもある:知っておくべき制約

本の仕様(フォーマット)が限られる

PODで作れるのは、基本的にペーパーバック(ソフトカバー)のみです。高級感のあるハードカバーや、日本の本ではおなじみのカバー、帯、見返し(表紙の裏の色のついた紙)などは付けられません。

品質は向上しているが、最高級ではない

PODの印刷品質は年々向上していますが、やはり伝統的なオフセット印刷の美しさには及ばない場合があります。印刷のタイミングによって、色味が微妙に変わる可能性も指摘されています。また、使える紙の種類も限られています。

デザインの自由度が低い

本のサイズなど、PODサービスが提供する特定のテンプレートに合わせてデータを作成する必要があります。

4. 流通の現実:主戦場はネットで、本屋の棚には並ばない

買える場所は、基本的にオンラインストア

PODで作った本は、Amazonや楽天ブックスといった、主要なネット通販サイトで購入できるようになります。

【重要】書店には「陳列」されない

これは絶対に理解しておくべき重要なポイントです。PODの本が、一般の書店に平積みされたり、棚に並んだりすることはありません。 お客様が書店で「この本を取り寄せてください」と特別に注文すれば購入できるサービスもありますが、それは書店に在庫として置かれることとは全く意味が違います。

特に、AmazonのPODサービスで出版した本は、書店で取り寄せること自体ができません。

三省堂書店のオンデマンドサービス

三省堂書店が提供する店頭でのオンデマンド印刷があります。お客様がお店のカウンターで注文すると、その場で印刷・製本してくれたり、後日店舗で受け取れたりします。これは画期的ですが、全国の書店に流通するわけではないことを覚えておきましょう。

5. 気になるコストと儲けの話

印税はどうやって決まる?

PODの印税(利益)は、シンプルな引き算で決まります。

(あなたが設定した販売価格)−(プラットフォームの手数料)−(1冊あたりの印刷コスト)=あなたの利益

販売価格を自分で決められるため、利益額もコントロールできます。利益率はサービスによりますが、だいたい10%〜30%程度が一般的です。

サービスの種類もいろいろ

自分で全てのデータを用意して無料でアップロードするモデルから、プロの編集やデザインサポートが付いた数十万円のパッケージプランまで、様々なサービスが存在します。

【まとめ】PODは出版を「製造業」から「サービス業」に変える革命

PODは、本のビジネスモデルを根本から変えました。これまでの出版は、売れるかどうか分からないのに、先に数千冊を印刷する「見込み生産」の製造業でした。一番のリスクは、その莫大な初期投資です。

PODは、この構造を完全にひっくり返します。注文という「需要」が確定した後に、初めて1冊を「生産」するのです。

これにより、社長が向き合うべきリスクは「印刷代を払えるか?」から「この本をどうやって知ってもらい、注文を生み出すか?」というマーケティングの課題に変わります。

さらに、データを修正して再アップロードすれば、いつでも内容を更新できるのも大きな強みです。誤字の修正はもちろん、新しい情報や成功事例を追加することも可能。

あなたの本は、一度作ったら終わりの静的な製品ではなく、ウェブサイトのように成長し続ける、ダイナミックなマーケティング資産になるのです。

結論:出版はゴールではない。最強のビジネスツールを手に入れる「始まり」だ

商業出版がもたらす圧倒的な権威性。自費出版がくれる、すべてを自分で決める自由。電子書籍の驚異的なスピードと、ほぼゼロのコスト。そして、PODが実現する、リスクゼロで物理的な本を持つという新しい選択肢。

これらはすべて、あなたのビジネスを成長させるための「道具」です。

一番大切なことを、最後にもう一度。本の完成は、ゴールではありません。それは、あなたのビジネスが、より強力なマーケティング、揺るぎないブランディング、そして専門家としての権威を手に入れる、新しいステージの「スタートの号砲」なのです。

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この記事の監修者・著者

2006年に起業。合同会社を設立するも2年後に株式会社へ組織変更。社員2人〜4人の小さな会社を5年間経営後、一人会社・一人社長へ。一人社長歴15年。

ソエルコト(一人会社・小さな会社の社長さんの経営パートナー)、マナブコト(習い事教室・学習塾の生徒募集)、ホームページ作成教室など、様々なスモールビジネスを展開中。一人会社・小さな会社の社長さんの支援実績も豊富で、日本全国にクライアントがいます。

大変なこと・辛いことをたくさん経験してきた小さな会社の社長として、一人社長を長くやってきた先輩として、そして一人会社研究家として、お役立ち記事を監修・執筆しています。

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