社長の感覚:みんなと同じは大体間違っている

みんなと同じは大体間違っている 一人社長ブログ
この記事の監修者・著者

2006年に合同会社を設立。2008年に株式会社へ組織変更。社員2人〜4人の小さな会社を5年経営後、一人会社・一人社長となり15年。

WebとAIを活用して様々なスモールビジネスを展開中。集客の仕組み化が得意。一人会社・小さな会社の社長さんの支援実績も豊富で、日本全国にクライアントがいます。

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その「違和感」は、正しい。

経営者という道を選んだ瞬間から、私たちは大多数の人とは違う道を歩み始めています。

従業員として組織に属するのではなく、自ら組織を創り出すという選択は、本質的に「みんなと同じ」であることへの決別宣言にほかなりません。

もしあなたが、会議で満場一致の結論に何とも言えない不安を感じたり、業界の常識とされるやり方に直感的な違和感を抱いたりするのなら、その感覚は決して間違いではありません。

それは、リーダーシップに不可欠な、とても重要な戦略的センサーが正常に機能している証拠なのです。

この記事は、ファクトチェックを前提とした客観的なレポートではありません。むしろ、数多くの成功と失敗を乗り越えてきた経営者が共通して抱くであろう、ある種の「確信」を言葉にする試みです。

その確信とは、「みんなと同じ道を進む選択ばかりをしていると、結局は厳しい競争に巻き込まれてしまう」という、シビアな現実に基づいています。

変化が当たり前になった現代のビジネス環境において、大多数が歩む舗装された道は、一見すると最も安全に見えますが、実は最も危険な場所かもしれません。

なぜなら、そこはコモディティ化(商品の価値が下がること)と激しい価格競争、そして最終的には時代遅れになってしまう未来へと続く道だからです。

この「みんなは間違っているかもしれない」という感覚は、単なる感情的な反発や、あまのじゃくな性格から来るものではありません。それは、リーダーがその立場だからこそ培ってきた、高度なパターン認識能力の現れなのです。

従業員の多くは、組織内での評価や人間関係といった社内の環境にうまく適応することが求められるため、周りの意見に合わせる方が合理的である場合が多いでしょう。

それに対して、経営者は市場の激変や事業が続くかどうかといった、会社の外からの脅威に常に晒されています。この根本的な立場の違いが、考え方の違いを生み出します。

経営者は、まだ誰も気づいていないチャンスや危険のサインをいち早くキャッチしようと、常にアンテナを張り巡らせています。その結果として、「みんな」の意見が自分の認識とずれたときに鳴り響くアラートこそが、その「違和感」の正体なのです。

それは、戦略的な直観だと言えるでしょう。

「みんな」という幻想の正体 — 集団思考の罠

ビジネスの現場でよく耳にする「みんながそう言っている」という言葉ほど、注意すべきものはありません。

この「みんな」という言葉は、一見すると多くの人の知恵や意見をまとめたもののように聞こえますが、その実態は多くの場合、心理的な罠が生み出した幻想に過ぎないのです。

その正体は、「集団浅慮(グループシンク)」と呼ばれる、組織を致命的な判断ミスへと導いてしまう病理です。

同調圧力という見えざる強制力

組織の中にいると、個人は「周りから浮きたくない」という強い不安を感じることがよくあります。

周りが残業していれば自分だけ帰りづらかったり、本当は行きたくない懇親会でも断れなかったりといった日常的な場面から、会議で明らかに不合理な結論が出そうになっていても反対意見を言えないといった重要な意思決定の場面まで、同調圧力はどこにでも存在します。

この圧力の根っこにあるのは、他人と違う意見や行動をとることで「協調性がない」と思われたり、仲間外れにされたりすることへの恐怖です。

その結果、多くの人は自分の中にある健全な疑問や批判の気持ちを抑え込み、何も考えずに多数派の意見に流されてしまうのです。

集団浅慮(グループシンク)の病理

集団浅慮(グループシンク)とは、集団のまとまりや調和を大切にするあまり、メンバーが批判的な意見を言ったり、リスクを真剣に考えたりすることをやめてしまい、結果として不合理で危険な結論に至ってしまう現象のことです。

この状態に陥った組織は、いくつかの危険なサインを示します。例えば、「自分たちの決定は絶対に正しい」という過度な楽観や、「自分たちは無敵だ」といった幻想に囚われてしまいます。

外部からの警告や都合の悪い情報には耳を貸さず、ライバルやリスクを甘く見る一方で、自分たちの能力を過大評価する傾向が強くなるのです。

そして、もし集団の中で違う意見を言おうとする人が現れると、その人に強いプレッシャーをかけて黙らせてしまいます。

この病理が引き起こした歴史的な悲劇として最も有名なのが、1986年のスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故です。打ち上げ当日の気温が低かったため、ロケットの部品に使われていた「Oリング」というゴム製のパッキンが硬くなり、燃料漏れを起こす危険があることを、技術者たちは事前に何度も警告していました。

しかし、打ち上げが何度も延期されていたことによるプレッシャーや、「計画を成功させたい」という組織全体の強い思いが、この致命的なリスクを軽視させてしまったのです。

NASAの管理職たちは技術者の懸念を退け、打ち上げを強行しました。その結果、世界中が見守る中でシャトルは空中で爆発し、7名の尊い命が失われてしまいました。

これは、集団全体の意見が、個人の専門的で正しい判断をいかに簡単に踏み潰してしまうかを示す、痛ましい教訓です。

ビジネスの世界でも、同じような失敗は後を絶ちません。マクドナルドがかつて発売した「サラダマック」は、その象徴的な例です。「ヘルシーなメニューが欲しい」というお客様からの「多数」の声に応える形で開発されたこの商品でしたが、商業的には大失敗に終わりました。

なぜなら、お客様は口では健康的なものを求めつつも、マクドナルドに足を運ぶ本当の理由は、ハンバーガーやポテトといった「不健康だけど満足感の高い」商品を求めていたからです。

表面的な「みんなの声」を鵜呑みにした結果、ブランドが持つ本来の価値を見誤ってしまったのです。

多数決と満場一致の危険性

重要な経営判断を多数決に任せることは、責任を放棄しているのと同じかもしれません。

多数決で決まったことは、「なぜその結論になったのか」という本質的な理由が曖昧になり、「多数派だったから」という思考停止を招きがちです。

さらに深刻なのは、日本の組織で良いこととされがちな「満場一致」です。経営会議での満場一致は、健全な議論が行われなかった証拠であり、後になって必ず問題が起きる危険なサインなのです。

リーダーが本質的に孤独である理由は、この集団での決定における責任のあり方と深く関わっています。

グループで何かを決定した場合、失敗したときの責任は「みんな」に分散され、一人ひとりの責任感は薄れてしまいます。しかし、経営者はその結果に対するすべての責任を一人で背負わなければなりません。

この「最終責任の重さの違い」こそが、リーダーが安易な多数派の意見に疑問を持つようになる根本的な理由なのです。

リーダーは、支持者の数ではなく、意思決定そのものが合理的で質が高いかどうかで判断を下すことを宿命づけられています。

特徴集団浅慮(陳腐化への道)健全な意思決定(革新への道)
異論の扱い異論や反対意見は組織への裏切りと見なされ、抑圧されます。健全な対立が奨励され、わざと反対意見を言う「悪魔の代弁者」役が置かれることもあります。
外部の視点外部からの批判や警告は無視され、組織は閉鎖的・孤立的になります。外部の専門家や第三者の意見を積極的に取り入れ、客観性を保とうとします。
リスク認識リスクは過小評価され、集団は無敵であるかのような幻想に陥ります。最悪のシナリオを想定し、リスクを徹底的に洗い出すプロセスが組み込まれています。
決定の根拠リーダーの意向やその場の空気が優先され、データや論理は軽視されます。データと論理に基づき、多様な選択肢が客観的に比較検討されます。
最終目標集団の調和とスムーズな合意形成そのものが目的になってしまいます。組織にとって最善かつ最も効果的な結論を出すことが唯一の目的となります。

真実は「2割」に宿る — パレートの法則の経営者的解釈

「みんなと同じは間違っている」という経営者の直観は、単なる経験則だけでなく、ある数学的な法則によっても裏付けられています。それが、「パレートの法則」、通称「80:20の法則」です。

この法則は、「成果の80%は、全体の20%の要因によって生み出されている」というもので、ビジネスのあらゆる場面で普遍的に見られる現象です。

この法則を経営に当てはめてみると、驚くほど多くのことが見えてきます。

  • 売上の80%は、全顧客のわずか20%である優良顧客が生み出しています。
  • 利益の80%は、全商品のうち20%の人気商品が稼ぎ出しています。
  • 仕事の成果の80%は、費やした全業務時間のうち、集中した20%の時間から生まれています。
  • Webサイトのアクセスの80%は、サイト全体のページ数のうち、わずか20%のページに集中しています。

多くの平凡な経営は、リソース(資源)をすべての方面に均等に配分する「絨毯爆撃」のような戦略をとりがちです。すべてのお客様を平等に扱い、すべての商品を同じように宣伝し、すべての業務に同じように時間をかける。

これは一見すると公平に見えますが、パレートの法則に照らし合わせれば、極めて非効率な「悪平等」にほかなりません。

真のリーダーシップとは、この少し不都合な真実をまっすぐに見て、限られた経営資源を最も重要な「2割」に意図的に集中させる「選択と集中」を断行することにあります。

これは、最も利益をもたらしてくれる2割のお客様に手厚いサポートを提供し、最も売上に貢献している2割の商品に開発費やマーケティング費用を投下し、最も成果を生む2割の業務に自分の時間を優先的に割り当てることを意味します。

これが、少ない労力で大きな成果を出す「一点突破」の極意なのです。

ただし、この法則を適用する際には注意が必要です。よくある誤解は、「重要な2割さえいれば、残りの8割は不要だ」という短絡的な考え方です。しかし、トップ20%の優秀な社員を支えているのは、他の80%の従業員である場合が多いのです。

彼らのモチベーションが下がれば、組織全体がうまく機能しなくなってしまいます。重要なのは8割を「切り捨てる」ことではなく、8割にかけるコストや時間を最小限にし、効率的に対応する仕組みを整えた上で、浮いたリソースを2割に集中投下することなのです。

パレートの法則を理解することは簡単ですが、それを実行するには並外れた勇気が求められます。なぜなら、戦略の焦点を絞るということは、大多数である「80%」を意図的に後回しにすることを意味するからです。

平均的なお客様、平凡なプロジェクト、目立たない従業員。彼らは組織の多数派であり、その声は大きいものです。

彼らの不満を恐れず、時には非情とさえ思われるかもしれない優先順位付けを行い、組織全体の利益を最大化する。これは、分析能力の問題というよりは、リーダーとしての覚悟の問題です。

誰にでも公平であろうとする誘惑を断ち切り、意図的な「不平等」を選択する勇気こそが、パレートの法則を単なる知識から、企業を飛躍させる強力な武器へと変えるのです。

逆張りこそが勝機 — 常識の外側にブルーオーシャンは広がる

もし「みんな」が同じ方向を向いているとしたら、そこは既に競争が激化した「レッドオーシャン(血の海)」です。熾烈な消耗戦が繰り広げられるその場所では、大きな成功は望めません。

本当のチャンスは、常識や大多数の意見に逆らう「逆張り思考」によってのみ見つけ出すことができます。誰もいない航路の先にこそ、競争のない広大な市場「ブルーオーシャン(青い海)」が広がっているのです。

逆張り思考とは、もともと株式投資で「株価が上がっている時に売り、下がっている時に買う」手法を指す言葉ですが、その本質は人生やビジネス戦略全般に応用できます。

それは、他人と同じ道を進むことを意識的に避け、まだ誰も価値を見出していない領域にこそチャンスが眠っていると信じる考え方です。

起業家の成田修造氏が指摘するように、「人と同じことをしていれば、おおむね人と同じ成果に落ち着く」のは当たり前のことなのです。

ケーススタディ1:ワークマンのブルーオーシャン戦略

作業服の専門店ワークマンは、逆張り思考によって新しい市場を創り出した典型的な例です。当時、アウトドアウェア市場の「常識」は、高機能で高価格な専門ブランドか、低機能で低価格な量販店ブランドという、両極端な構造でした。

ワークマンの逆張り的な発想は、「作業服業界で培ってきた強みを、そのまま隣のアウトドア市場に持ち込む」というものでした 。作業服は、過酷な屋外での仕事に耐える「高い機能性」と、消耗品として気軽に使える「圧倒的な低価格」を両立させています。

この「高機能かつ低価格」という組み合わせは、一般消費者向けのアウトドア市場には存在しない、まさに空白地帯(ブルーオーシャン)だったのです。

彼らは業界の常識を疑い、自社の本当の強みを見つめ直すことで、競争せずに市場を独占するという、圧倒的な成功を収めました。

ケーススタディ2:Netflixの自己破壊的イノベーション

Netflixの歴史は、逆張り戦略の究極の形、つまり「自社の成功している事業を、自らの手で破壊する」という驚くべきものです。

2000年代半ば、NetflixはDVDの郵送レンタル事業でトップに立っていました。当時の「常識」で考えれば、この利益が出ている事業をさらに拡大し、最適化することが最善の策だったはずです。

しかし、CEOのリード・ヘイスティングスは、まだ技術的に未熟で事業としても赤字だったストリーミングこそが未来だと確信していました。彼は「もし私たちが自分たちの事業を時代遅れにしなければ、いずれ他の誰かがやるだろう」と考え、収益の柱であるDVD事業と顧客を奪い合うことになるストリーミング事業へ、巨額の投資を断行したのです。

この決断は、短期的な利益を犠牲にしてでも、長期的な市場の支配を狙う、まさに逆張りの極致でした。

結果として、Netflixは自らエンターテインメント業界のルールを変える存在となり、新しい時代の覇者となったのです。

ケーススタディ3:常識を覆した出店戦略

ある飲食企業は、コンサルタントから「家賃の安いロードサイド(幹線道路沿い)に出店すべきだ」という業界の常識に基づいたアドバイスを受けました。しかし、経営陣はあえてその助言に逆らい、家賃の高い駅前に集中して出店する戦略を選びました。

彼らのターゲットは「仕事帰りのサラリーマン」であり、車での来店が前提となるロードサイドは、ターゲット層と合致しないと判断したからです。

この常識破りの戦略は見事に当たり、同社は上場を果たすほどの成功を収めました。

これらの事例が示しているのは、逆張り戦略が単なる奇抜なアイデアではないということです。それは、市場の表面的な常識に惑わされず、本質的な価値とお客様のニーズを深く見抜いた上での、極めて論理的な選択なのです。

一般的な考え方では、常識から外れることはリスクが高いと見なされます。しかし、変化の激しい市場においては、むしろ「みんなと同じ」であること、つまりレッドオーシャンに留まり続けることこそが最大のリスクとなり得ます。

一見すると不確実で孤独に見える逆張りの道は、競争を避け、市場を独占するという、長期的には最も安全でリターンの大きい戦略的なポジションへと繋がっているのです。

経営者の直観は、このリスクとリターンのアンバランスさを本能的に見抜いているのかもしれません。

異端であるための「資質」— 成功する起業家の心理的DNA

「みんなと違うこと」を恐れず、逆張りの道を突き進む能力は、単に後から学んだスキルだけによるものではありません。それは多くの場合、経営者のもともとのパーソナリティ、つまり心理的なDNAに深く根差しています。

「社長は普通の人とは感覚が違う」という直観は、現代の性格心理学の研究によっても裏付けられているのです。

ビッグファイブ理論で見る起業家の特性

現在、最も科学的に信頼性が高いとされる性格分析のフレームワークが「ビッグファイブ理論」です。

これは、人間の性格を「開放性」「誠実性」「外向性」「協調性」「神経質傾向(または情緒安定性)」という5つの主要な要素で捉えるものです。

そして、成功した起業家たちは、このモデルにおいて非常に特徴的な傾向を示すことが分かっています。

  • 非常に高い「開放性」
    これは、起業家精神の核となる特性です。好奇心がとても旺盛で、新しい経験や知識を積極的に求め、既存の常識やルールを覆すことを好む傾向を指します。
    彼らは「まだ世の中にないものをイメージする」能力に長けており、まさに「ゲームチェンジャー、ルールブレイカー」としての資質を生まれながらに持っていると言えるでしょう。
    この高い開放性こそが、普通の人には見えないビジネスチャンスを発見し、革新的なアイデアを生み出す原動力となるのです。
  • 非常に低い「神経質傾向」
    これは、高い「情緒安定性」を持っていることを意味します。この特性を持つ人々は、不安やストレスを感じにくく、楽観的で精神的に打たれ強いのが特徴です。
    起業は不確実なことや失敗の連続ですから、神経質傾向が高い人であれば、そのプレッシャーに押し潰されてしまうかもしれません。
    成功する起業家は、目の前のリスクを過度に恐れず、失敗してもすぐに立ち直る強靭なメンタリティを備えています。この特性が、大胆なリスクテイクを可能にする心理的な安全装置として機能しているのです。

この二つの特性は、それぞれが独立して存在するのではなく、互いに作用し合って強力な相乗効果を生み出します。

高い「開放性」が常識破りの革新的なアイデアを次々と生み出すエンジンだとすれば、低い「神経質傾向」は、そのアイデアを実行に移す際に浴びせられる周囲からの批判や抵抗、そして失敗への恐怖といった逆風から心を守るための心理的な鎧の役割を果たします。

斬新なアイデアを思いついても、それを実行する精神的な強さがなければ、イノベーションは生まれません。この二つの組み合わせこそが、異端者として成功するための必須条件なのです。

成功する社長のその他の心理的特性

ビッグファイブ以外にも、成功する経営者に共通する重要な心理的特性があります。

  • 内部要因思考
    成功する経営者は、「人生で起こる全ての事は100%自分の責任だ」と考える傾向が強いと言われています。彼らは景気や社会情勢、ライバルの動向といった外部の要因のせいにしません。
    すべてが自己責任であると考えるからこそ、常に自分自身を変え、状況を改善しようと努力し続けることができるのです。
  • 素直さ
    これは、何でも言いなりになるという意味ではありません。「人から言われることも聞き入れられる器の大きさ」を意味し、知的な謙虚さの現れです。
    自分の過ちを認め、他人からの的確な批判を受け入れる素直さがあるからこそ、人は成長し続けることができます。
  • 失敗の再定義
    多くの人が「失敗」と呼ぶような出来事を、彼らは「学びの機会」と捉えます。この失敗に対する強さは、低い神経質傾向と内部要因思考から生まれる、非常に重要な能力です。
心理的特性説明経営者における現れ方
高い開放性好奇心が強く、新しい経験や常識を覆すことを好みます。業界の定説を疑い、破壊的なイノベーションを創り出します。
低い神経質傾向楽観的でストレスに強く、不安を感じにくいです。不確実性の高い状況でも大胆な意思決定を下し、失敗から素早く立ち直ります。
高い誠実性自己規律があり、目標達成への意欲が高く、勤勉です。掲げたビジョンに向かって粘り強く努力を続け、組織を引っ張っていきます。
内部要因思考出来事の原因を自分自身の内側に求めます。問題が発生した際に他人のせいにせず、自らの行動を変えることで解決しようとします。
素直さ謙虚に他者の意見や批判を受け入れることができます。メンターや部下からのフィードバックを成長の糧とし、独りよがりになりません。

孤独な視座の力 — アウトサイダーとして世界を見る

逆張り思考を維持し、集団浅慮の罠を回避し続けるためには、経営者は意識的に「アウトサイダー(部外者)」の視点を保たなければなりません。

組織の内部に身を置きながらも、その文化や常識に染まりきることなく、常に一歩引いた場所から自社を、そして業界全体を客観的に見つめる。

この孤独な視点こそが、長期的な成功の鍵を握っているのです。

イノベーションは「よそ者」がもたらす

新しいビジネスやイノベーションは、その業界の常識に染まっていない「アウトサイダー」によってもたらされることが多いと言われています。

内部の人間は、長年の慣習や過去の成功体験、暗黙のルールに縛られ、既存の枠組みの中でしか物事を考えられなくなってしまいがちです(いわゆる”Out-of-box-Thinking”ができない状態です)。

アウトサイダーは、そうした制約がないからこそ、「なぜこの業界では当たり前のようにこんな非効率なことをやっているのだろう?」といった、素朴で本質的な問いを投げかけることができます。

成長へのヒントは、常に組織の「外」にあるのです。

経営者の最も重要な役割の一つは、この「社内におけるチーフ・アウトサイダー」であり続けることです。

内部の論理や空気に流されず、常にお客様や市場という外部の視点から自社を評価し、組織が内向きになることを防ぐ防波堤とならなければなりません。

もし経営者自身が組織の文化に完全に同化してしまえば、その会社は外部環境の変化を察知する能力を失い、緩やかに衰退していくでしょう。

「プロ経営者」という究極のアウトサイダー

近年、日本の大企業で外部からCEOを招く動きが活発になっていることは、アウトサイダーの視点の価値をはっきりと示しています。

サントリーや武田薬品工業といった歴史ある同族経営の企業が、グローバル化という大きな変革を断行するために、社内の常識やしがらみとは無縁の「プロ経営者」をトップに据えました。

半導体装置大手の東京エレクトロンから分社したアドバンテストが、70年の歴史で初めて外国籍の人物をCEOに任命したのも、よりグローバルで広い視野を経営に取り込むためでした。

これらの事例は、組織が自ら変わる力を失ったとき、その起爆剤として外部の血、すなわち究極のアウトサイダーの視点が不可欠になることを示しています。

戦略的孤独のすすめ

経営者という立場に伴う孤独は、単なる役職の副作用ではありません。それは、客観的な意思決定能力を維持するために、意図的に育み、守るべき「戦略的な資産」なのです。

もし経営者が部下たちと「仲良しクラブ」のような関係を築いてしまったら、どうなるでしょうか。非情な決断が求められる場面で、個人的な感情が判断を鈍らせてしまうでしょう。

特定のグループに肩入れしてしまい、組織全体の利益を見失うかもしれません。それはまさに、リーダーが最も避けるべき集団浅慮への入り口なのです。

優れたリーダーは、このことをよく理解しています。彼らは、部下との間に意図的に一定の心理的・物理的な距離を保ちます。

一人で静かに考える時間を確保し、馴れ合いの関係に陥ることを避けるのです。

この「戦略的孤独」は、冷たいとか人間不信だとかいう意味ではありません。それは、組織の未来に対する最終責任者として、常に公平で客観的な判断を下すために自らに課した、厳しい規律なのです。

その孤独な視点からしか見えない景色が、必ずあるはずです。

多数決の先へ — 「面白さ」を創造するリーダーシップ

この記事の出発点となった「みんなと同じは大体間違っている」「多数決で物事を決めると大体、面白くないことになる」という感覚は、極めて正しいと言えるでしょう。

なぜなら、多数決やみんなの合意を求めるプロセスは、その仕組み上、斬新で、大胆で、リスクを伴う「面白い」アイデアを削ぎ落とし、安全で、平均的で、予測可能な「つまらない」結論へと落ち着くようにできているからです。

これまでお話ししてきた、集団浅慮からの脱却、パレートの法則に基づく一点集中、常識を覆す逆張り戦略、起業家特有の心理的DNA、そしてアウトサイダーとしての孤独な視座。これら全てが指し示す結論は一つです。

すなわち、本当に価値あるもの、世界を変えるほどのイノベーションは、決して会議や多数決からは生まれません。それは、大多数がその価値をまだ理解できない、あるいはリスクを恐れて反対する中で、たった一人のリーダー、あるいはごく少数のチームの揺るぎない確信と実行力によってのみ、この世に生み出されるのです。

現代は、データやコンサルタント、そして無数の会議が、常に「安全な」みんなの合意へと組織を導こうとする時代です。その中で、経営者であるあなたが抱く「みんなとは違う」という感覚、その直観こそが、最後の、そして最大の競争力の源泉となるでしょう。

リーダーの仕事とは、周りの顔色をうかがい、当たり障りのない答えを探すことではありません。それは、多くの人にはまだ見えない未来を思い描き、その未来へと続く道を、たとえ最初は自分一人しか歩む人がいなくても、信じて切り拓いていく勇気を持つことです。

その道の先にこそ、ありふれた模倣ではない、本当に「面白い」事業の未来が待っています。

その感覚、社長にとって非常に大切な感覚なのです。

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この記事の監修者・著者

2006年に起業。合同会社を設立するも2年後に株式会社へ組織変更。社員2人〜4人の小さな会社を5年間経営後、一人会社・一人社長へ。一人社長歴15年。

ソエルコト(一人会社・小さな会社の社長さんの経営パートナー)、マナブコト(習い事教室・学習塾の生徒募集)、ホームページ作成教室など、様々なスモールビジネスを展開中。一人会社・小さな会社の社長さんの支援実績も豊富で、日本全国にクライアントがいます。

大変なこと・辛いことをたくさん経験してきた小さな会社の社長として、一人社長を長くやってきた先輩として、そして一人会社研究家として、お役立ち記事を監修・執筆しています。

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