【事例なしで本質を解説】失敗しない会社名の決め方|ビジネスを成功に導く戦略的ネーミング術

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2006年に合同会社アルクコト設立。2008年に株式会社アルクコトに組織変更。現在は一人会社・一人社長で、様々なスモールビジネスを展開中。

自身の20年間で築き上げたマーケティングスキル・Web制作スキル、AIスキルに加え、一流マーケターや一流コンサルタントのノウハウ・成功例・幅広い知見で構築した第二の頭脳(セカンドブレイン)を活用していることが強み。

「集客の仕組み化」と「話を聴くこと」が得意で、一人会社の社長さん・小さな会社の社長さんの支援実績も豊富。

株式会社アルクコト 小南邦雄をフォローする
  1. はじめに:会社名は、会社の未来を決める「最初の戦略」
  2. STEP1:会社の「魂」を名前に込めよう!理念から考える会社名の決め方
    1. 1. あなたの会社の「なぜ?」を名前にする(理念との一致)
    2. 2. 見た目も大事!ロゴとの相性を考えよう(デザインとの連携)
    3. 3. 未来の可能性を狭めないか?(事業の拡張性)
  3. STEP2:覚えやすさが成功の鍵!記憶に残る会社名の決め方
    1. 1. 短く、リズミカルで、言いやすい!記憶に残る3原則
    2. 2. ちょっとした裏技?「あ」で始まる名前の法則
    3. 3. 最新トレンドを知って、時代に合った名前を
  4. STEP3:ネットで見つけてもらう!SEOに強い会社名の決め方
    1. 3.1 会社の「ネット上の住所」を確保しよう(ドメインとSNS)
    2. 2. 検索で埋もれないための3つの鉄則(独自性と検索性)
    3. 3. 世界で通用する名前かチェックしよう(グローバル対応)
  5. STEP4:知らないと大損害も!会社名の法律ルールと注意点
    1. 1. まずは基本のキ!会社法のルール
    2. 2. 他人の権利を侵害しないために(商標法)
    3. 3. 「有名ブランドの真似」は絶対NG(不正競争防止法)
  6. STEP5:いざ実践!アイデア出しから決定までの会社名の決め方ロードマップ
    1. 1. アイデアが湧き出る!ネーミング発想法7選
    2. 2. 候補を絞り込む「最強のフィルター」
    3. 3. 最終決定で迷わない!客観的な評価シート
  7. まとめ:最高の会社名は、ビジネスを加速させる

はじめに:会社名は、会社の未来を決める「最初の戦略」

新しい会社を立ち上げるとき、多くの人が「どんな会社名にしよう?」と胸を躍らせます。縁起の良い画数、おしゃれな響き、かっこいい言葉…考えるだけでワクワクしますよね。

しかし、会社名は単なる「名前」ではありません。それは、あなたのビジネスの根幹を支え、未来の価値を大きく左右する「中核的な戦略資産」なのです。

一度決めたら、名刺、ウェブサイト、契約書など、あらゆる場面で使い続ける、まさに会社の「顔」。うまく選べば強力な武器になりますが、安易に決めてしまうと、後々マーケティングや法律の面で思わぬ足かせになりかねません。

そこでこの記事では、あえて特定の会社名の事例を挙げることはせず、どんなビジネスにも応用できる「会社名の決め方の本質」に焦点を当てます。なぜなら、成功事例を真似るだけでは、あなたのビジネスに最適な答えは見つからないからです。

この記事を読めば、戦略、マーケティング、法律、そして人の記憶に残る仕組みまで、あらゆる視点から「ビジネスで有利になる会社名の決め方」の普遍的な方法論がわかります。さあ、あなたの会社を成功に導く、最高の名前を見つける旅を始めましょう。

STEP1:会社の「魂」を名前に込めよう!理念から考える会社名の決め方

優れた会社名は、ただ響きが良いだけではありません。その会社の「らしさ」、つまり理念やビジョン、未来への想いが込められています。

ここでは、会社名を単なる記号から、会社の魂を宿す戦略的な武器へと変えるための考え方をご紹介します。

1. あなたの会社の「なぜ?」を名前にする(理念との一致)

最も力強い会社名は、「私たちは何のために存在するのか?」という根源的な問いへの答えを映し出しています。これは、企業のアイデンティティの中核をなす「マインド・アイデンティティ(MI)」と呼ばれる考え方です。

創業者の熱い想いやストーリー、会社が目指す未来像を社名に込めることで、それは単なる名前ではなく、顧客や従業員と共有できる物語になります。

理念に根差した名前は、社内では「私たちの原点はこれだ」という共通認識を生み、強い組織文化を育む力になります。社外に向けてアピールする前に、まず社内の結束を高める「インナーブランディング」の最高のツールになるのです。

多くの失敗は、この「なぜ(理念)」を考える前に、「なに(名前)」を決めようとすることから始まります。まずは自社の理念を言葉にしてみる。この作業こそが、ブレない会社名の決め方の第一歩です。

2. 見た目も大事!ロゴとの相性を考えよう(デザインとの連携)

会社名は、ロゴやウェブサイトのデザインと切り離しては考えられません。これが「ビジュアル・アイデンティティ(VI)」です。

社名とロゴは、お互いを引き立て合うパートナー。理想は、並行して開発することです。名前の響きからロゴのアイデアが生まれることもあれば、素晴らしいデザインコンセプトが名前のヒントになることもあります。

例えば、長くて複雑な漢字の社名は、スマホの小さなアプリアイコンでは潰れて見えにくいかもしれません。逆に、シンプルでモダンな名前なのに、ロゴだけが伝統的で装飾過多だと、チグハグな印象を与えてしまいます。

名刺、ウェブサイト、看板など、様々な場所でどう見えるかを想像しながら、名前とデザインの最高のコンビネーションを探しましょう。

3. 未来の可能性を狭めないか?(事業の拡張性)

会社名を決めるとき、大きな分かれ道があります。それは、「事業内容がすぐわかる具体的な名前」にするか、「可能性を秘めた抽象的な名前」にするかです。

この選択は、会社の未来の成長に大きく関わってきます。

具体的な名前(例:「〇〇建設」「△△テック」など)

  • メリット
    何の会社か一瞬で伝わるので、最初の信頼を得やすい。
  • デメリット
    もし将来、建設以外の事業や、IT以外のサービスを始めたくなった時、社名が足かせになる可能性があります。大規模なリブランディングには大きなコストがかかります。

抽象的な名前(例:造語や比喩的な言葉)

  • メリット
    どんな事業にも柔軟に対応できる。将来の事業拡大の自由度が高いです。
  • デメリット
    最初は何の会社か伝わりにくいため、名前の意味や価値を浸透させるためのマーケティング努力が必要です。

どちらが良いというわけではありません。これは、あなたのビジネス戦略そのものです。

特定の分野で早く認知されたいなら具体的な名前が、将来の大きな飛躍を目指すなら抽象的な名前が向いているかもしれません。

あなたの会社の未来予想図に合った会社名の決め方を考えましょう。

STEP2:覚えやすさが成功の鍵!記憶に残る会社名の決め方

どんなに素晴らしい理念を込めても、覚えてもらえなければ意味がありません。人の脳が「覚えやすい!」と感じる名前には、科学的な理由があります。ここでは、一度聞いたら忘れられない、そんな会社名をつくるためのコツを紹介します。

1. 短く、リズミカルで、言いやすい!記憶に残る3原則

人の脳は、シンプルで処理しやすい情報を好みます。この「認知のしやすさ」が、親近感や信頼感につながるのです。

  • 短さ(Brevity)
    目指すは2~3音節。短い名前は、口ずさみやすく、記憶に残りやすいです。
  • 発音のしやすさ
    誰もが正しく、簡単に発音できることが重要です。発音しにくい名前は、口コミの輪を狭めてしまいます。
  • 覚えやすさ
    難しい漢字や特殊なスペルは避けましょう 19。耳で聞いてスッと頭に入る名前は、それだけで強力な武器になります。

発音しやすく覚えやすい名前は、それだけで親しみを感じさせ、信頼を生み出します。会社名の決め方において、この「覚えやすさ」は、顧客との距離を縮めるための重要なテクニックなのです。

2. ちょっとした裏技?「あ」で始まる名前の法則

会社のリストや名簿が、五十音順やアルファベット順で並んでいるのを見たことはありませんか?実は、リストの最初の方にある名前は、人の目に触れる機会が多く、有利になることがあります。

日本語の場合、伝統的に電話帳などでトップに来る「あ」や「ア」で始まる会社名は、オンラインの企業一覧などでも最初に表示されることが多く、有利に働く可能性があります。

また、「株式会社」を社名の前に置くか(前株)、後に置くか(後株)も小さなポイントです。「〇〇株式会社」という「後株」にしておくと、単純なリストで「株式会社」という括りでまとめられてしまうのを防ぎ、社名本体でソートされやすくなるメリットがあります。

これは、情報が溢れる現代において、少しでも見つけてもらう確率を上げるための、ささやかで賢い戦略と言えるでしょう。

3. 最新トレンドを知って、時代に合った名前を

会社名のトレンドは時代と共に変化します。今の流行りを知ることで、現代的なイメージを与えたり、逆に流行を避けて独自性を出したりすることができます。

  • 近年、社名変更を行う企業が急増しており、ビジネス環境の変化がうかがえます。
  • 技術の進化を反映して、「AI」といったキーワードを取り入れる企業が増えています。
  • 一方で、「老舗」という言葉に注目が集まるなど、伝統や信頼性をアピールする動きも見られます。
  • 大手企業では、旧来の事業内容や地名に由来する名前から、より短く、グローバルに通用する抽象的な名前に変更する例も目立ちます。

今のトレンドは、「未来志向(テクノロジー、グローバル)」と「伝統回帰(信頼、本物志向)」という2つの大きな流れの中にあります。

あなたの会社がどちらの価値を大切にするのか。トレンドを理解した上で、自社の立ち位置を明確にすることが、戦略的な会社名の決め方につながります。

STEP3:ネットで見つけてもらう!SEOに強い会社名の決め方

現代において、会社名はインターネット上の「住所」と同じくらい重要です。検索で見つけてもらえなければ、存在しないのと同じかもしれません。

ここでは、デジタル時代を勝ち抜くための、SEO(検索エンジン最適化)を意識した会社名の決め方を紹介します。

3.1 会社の「ネット上の住所」を確保しよう(ドメインとSNS)

素晴らしい会社名を思いついても、それを使える「場所」がなければ意味がありません。名前を最終決定する前に、必ず以下の2つをチェックしましょう。

  • ドメインの空き状況
    会社のウェブサイトのアドレス(URL)です。理想は、会社名とドメイン名が同じであること。特に、法人しか登録できない.co.jpドメインは、会社の信頼性を高める効果があります。
  • SNSアカウントの空き状況
    X(旧Twitter)やInstagramなど、主要なSNSで同じ名前が使えるかを確認しましょう。ブランドイメージを統一するために不可欠です。

もし希望のドメインが既に使われていたら、どうするか?高額な費用で買い取るという手もありますが、創業期には現実的ではありません。

このチェックは、会社名の決め方のプロセスのできるだけ早い段階で行うことが鉄則です。

2. 検索で埋もれないための3つの鉄則(独自性と検索性)

あなたの会社名が、Googleなどの検索エンジンで簡単に見つかることは、ビジネスの生命線です。検索結果のノイズに埋もれてしまわないために、以下の点に注意しましょう。

  • 一般的な言葉を避ける
    「マーケティング会社」のような一般的な単語だけの社名は、検索で上位に表示させることが非常に困難です。
  • 有名企業やブランドと似た名前を避ける
    有名な会社や商品と似た名前は、検索結果で常にその巨大なライバルと戦うことになり、不利です。
  • 必ず「エゴサーチ」をする
    候補の名前を徹底的に検索してみましょう。ネガティブな情報と関連付けられていないか、紛らわしい同名の会社はないか、画像検索で意図しないイメージが出てこないかなどをチェックします。

これは単なるSEO対策ではありません。Googleがサイトを評価する基準の一つに「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」があります。ユニークで検索しやすい会社名は、この「権威性」と「信頼性」をネット上で築くための第一歩なのです。

3. 世界で通用する名前かチェックしよう(グローバル対応)

将来、海外展開を考えているなら、その名前が他の国でどう受け取られるかを調べておく必要があります。

  • 発音のしやすさ
    外国人でも比較的簡単に発音できる名前は、グローバルなビジネスにおいて大きなアドバンテージになります。
  • 言語的なチェック
    他の言語で、意図しないネガティブな意味や、おかしな意味になっていないかを確認しましょう。
  • 文化的なチェック
    その名前や関連するイメージが、進出したい国の文化や価値観にそぐわないものでないかも重要です。

この一手間を惜しむと、将来、海外でビジネスを始める際に、高額な費用をかけて名前を変更せざるを得なくなるかもしれません。グローバルな視点を持つことも、賢い会社名の決め方の一つです。

STEP4:知らないと大損害も!会社名の法律ルールと注意点

会社名の決め方には、創造性だけでなく、守らなければならない法律上のルールがあります。これを無視すると、登記ができなかったり、最悪の場合、損害賠償を請求されたりする可能性も。ここでは、絶対に押さえておきたい法的ルールを分かりやすく解説します。


表4.1:会社名の法的・規制チェックリスト

チェック項目要件・ルール不遵守のリスク検証ツール・方法
会社法:使用可能文字法務省令で定められた文字(漢字、かな、ローマ字、アラビア数字、特定記号)のみ使用可能。法務局による登記申請の却下。法務省ウェブサイトで最新の規則を確認。
会社法:法人格の明示商号の前後に「株式会社」「合同会社」等の法人格を必ず含める。登記申請の却下。定款作成時の基本要件。
会社法:同一商号・同一本店同一の住所に、同一の商号を登記することはできない。登記申請の却下。特にバーチャルオフィス等で注意が必要。法務省「登記ねっと 供託ねっと」での商号調査。
会社法:誤認を招く名称の禁止「銀行」「保険」等の許認可事業や「支店」「事業部」等の会社の一部門と誤認させる名称は使用不可。登記申請の却下、または業法違反となる可能性。関連業法および会社法の条文確認。
商標法:商標権の侵害他者が登録した商標と同一または類似の名称を、同一または類似の事業分野で使用してはならない。商号使用の差止請求、損害賠償請求、ブランドイメージの毀損。特許庁「J-PlatPat」での商標検索。
不正競争防止法:周知・著名表示他社の周知・著名な商号やブランドと混同を生じさせる名称を不正の目的で使用してはならない。商号使用の差止請求、損害賠償請求、刑事罰の可能性。Google検索、業界分析、専門家による市場での評判調査。

1. まずは基本のキ!会社法のルール

会社を登記する際の、最も基本的なルールです。これらを守らないと、そもそも会社として認められません。

  • 会社の種類を入れる
    「株式会社」や「合同会社」といった会社の種類を、名前の前か後ろに必ず入れます 1
  • 使える文字は決まっている
    使えるのは、漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字、アラビア数字と、一部の記号(&, ', ,, -, ., )だけです。記号は原則、名前の真ん中でしか使えません。
  • 使ってはいけない言葉
    • 「〇〇支店」や「△△事業部」など、会社の一部門を表す言葉は使えません。
    • 許可なく「銀行」や「保険」など、特定の事業と誤解される言葉は使えません。
    • 犯罪を連想させるような、公序良俗に反する言葉もNGです。
  • 同じ住所に同じ名前はNG
    全く同じ住所に、同じ会社名を登記することはできません。シェアオフィスやバーチャルオフィスを使う場合は特に注意が必要です。

これらは、会社名の決め方における絶対的な前提条件です。アイデアを考える前に、まずこのルールを頭に入れておきましょう。

2. 他人の権利を侵害しないために(商標法)

会社名として登記できても、その名前をビジネスで自由に使えないケースがあります。それが、他人の「商標権」を侵害してしまう場合です。

  • 事前の調査が必須
    会社名を決める前に、特許庁のデータベース「J-PlatPat」で、同じような事業分野で似た名前が商標登録されていないか必ず調べましょう。
  • リスクは甚大
    もし商標権を侵害してしまうと、名前の使用差し止めや、多額の損害賠償を請求される可能性があります。

ここで重要なのは、ビジネスの世界では、登記よりも商標権が優先されるという点です。

登記できたから安心、というわけではありません。自社の名前を守るためにも、最終的には自分の会社名を商標登録することも検討しましょう。

3. 「有名ブランドの真似」は絶対NG(不正競争防止法)

この法律は、たとえ商標登録されていなくても、世間によく知られている(周知・著名な)会社名やブランドを保護するためのものです。

他社の知名度や信用にタダ乗りするような、紛らわしい名前をつけることを禁じています。

  • 「不正の目的」が問われる
    有名ブランドの評判を利用して、消費者を勘違いさせようとする意図が問題視されます。
  • 商標法より範囲が広い
    事業内容が少し違っていても、消費者が「あの有名企業の関連会社かな?」と誤解するようなら、この法律に触れる可能性があります。
  • 結果は商標侵害と同じ
    こちらも、名前の使用差し止めや損害賠償につながる可能性があります。

法的なチェックは、単にルール違反がないかを確認するだけではありません。

「この名前を使うことで、誰かの権利を侵害したり、消費者に誤解を与えたりしないか?」という、市場全体を見渡す視点が不可欠なのです。

STEP5:いざ実践!アイデア出しから決定までの会社名の決め方ロードマップ

さて、ここまでの戦略やルールを踏まえて、いよいよ具体的な会社名づくりのプロセスに入りましょう。最高の会社名は、ひらめきだけでなく、体系的なステップから生まれます。

1. アイデアが湧き出る!ネーミング発想法7選

まずは質より量。様々な角度から、たくさんの候補(ロングリスト)を生み出すことが大切です。ここでは、創造性を刺激する7つのテクニックを紹介します。

  • 連想ゲーム型
    あなたの事業、価値観、顧客に関連するキーワードを書き出し、そこから自由に言葉を広げていきます。
  • 組み合わせ型
    2つ以上の単語をくっつけて、新しい言葉を作ります(例:「カロリー」+「メイト」)。
  • イメージ・比喩型
    商品やサービスの良さを、比喩や美しいイメージで表現します(例:和菓子の「村雨」)。
  • 造語型
    全く新しい言葉を発明します。言葉の一部を混ぜたり、音の響きが良い言葉を作ったりします。
  • 変換型
    既にある言葉を少し変えたり(ズラす)、逆から読んだり(アナグラム)、語呂合わせを使ったりします。
  • 翻訳型
    会社の理念に合う素敵な言葉を、ラテン語やギリシャ語など、他の言語から探してきます。

これらのテクニックを使って、まずは頭を柔らかくし、たくさんのアイデアの種を蒔きましょう。最高の名前は、このたくさんの種の中から、次の絞り込みプロセスを経て芽を出します。

2. 候補を絞り込む「最強のフィルター」

たくさんのアイデアが出たら、今度はそれをふるいにかけて、本当に価値のある候補(ショートリスト)に絞り込んでいきます。

以下の順番でチェックしていくのが効率的です。

  • 直感チェック
    まずはチームで、「これはちょっと違うな」というものを直感で弾きます。
  • デジタル領域チェック
    ここは厳しいフィルターです。候補の名前でドメインやSNSアカウントが取得できるかを確認。空いていなければ、原則としてその候補は脱落です。
  • 法律&SEOの簡易チェック
    「J-PlatPat」やGoogleで、明らかに問題がありそうな商標や、強力なライバルがいないかをざっと検索します。深入りする前に、大きなリスクがないかを確認するステップです。
  • 第三者の意見を聞く
    残った候補を、信頼できる友人や潜在的な顧客に見せてみましょう。「覚えやすいか」「変な意味に聞こえないか」など、客観的な意見は非常に貴重です。
  • 最終的な法的チェック
    最後に残った2~3の候補について、STEP4で解説した法律の観点から、専門家の助けも借りつつ、徹底的に調査します。

この順番で進めることで、ダメな候補に無駄な時間や費用をかけることなく、効率的に最高の名前へとたどり着くことができます。

3. 最終決定で迷わない!客観的な評価シート

最後の2~3候補まで絞られると、「どっちも良くて選べない…」と主観的な好みの争いになりがちです。そこで役立つのが、客観的な評価シート(多基準評価マトリクス)です。


表5.1:会社名評価シート(テンプレート)

評価基準重み付け候補名A候補名B候補名C
1. 会社の理念と合っているか25%1~5点で評価1~5点で評価1~5点で評価
2. 覚えやすく、発音しやすいか20%1~5点で評価1~5点で評価1~5点で評価
3. ネットで検索しやすいか(独自性)15%1~5点で評価1~5点で評価1~5点で評価
4. ドメイン・SNSは確保できるか15%1~5点で評価1~5点で評価1~5点で評価
5. 法的なリスクは低いか10%1~5点で評価1~5点で評価1~5点で評価
6. 将来の事業拡大に対応できるか10%1~5点で評価1~5点で評価1~5点で評価
7. 海外でも通用するか5%1~5点で評価1~5点で評価1~5点で評価
合計スコア100%(合計点)(合計点)(合計点)

スコアは5段階評価(5: 非常に良い, 1: 非常に悪い) 重み付けは、あなたの会社が何を重視するかで調整してください

このシートを使うことで、なぜその名前が良いのかを、感情論ではなく、戦略的な視点で議論できます。これにより、誰もが納得できる、論理的で後悔のない最終決定を下すことができるでしょう。

まとめ:最高の会社名は、ビジネスを加速させる

ここまで見てきたように、成功する会社名の決め方は、単なる思いつきや好みではありません。

それは、「戦略(会社の魂)」「伝わりやすさ(記憶と検索)」、そして「法律(ルール遵守)」という3つの要素を、丁寧なプロセスで統合していく作業です。

この記事で紹介した方法論は、あなたの創造性を縛るものではなく、むしろその創造性を、ビジネスの成功というゴールに導くための羅針盤です。

このステップに沿って選ばれた名前は、もはや単なる名前ではありません。それは、あなたの会社の最初にして、最も長く価値を発揮し続ける「競争優位性」そのものになるのです。

さあ、このガイドを手に、あなたの会社の輝かしい未来を象徴する、最高の名前を見つけてください。

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