はじめに:社長の給料は「会社の未来」を決める最重要ミッション
一人会社や、数人の仲間とこれから立ち上げる会社(もしくは立ち上げたばかり会社)。その社長であるあなたにとって、「自分の給料(役員報酬)をいくらにするか?」という問題は、頭を悩ませる大きなテーマではないでしょうか。
これは単に「自分の取り分をいくらにしよう」という話ではありません。社長の給料の決め方一つで、会社の利益、手元に残るお金、そして銀行や税務署からの評価まで、すべてが大きく変わってきます。まさに、会社の未来を左右する、最も重要な経営判断の一つなのです。
多くの社長が直面するのが、悩ましい「シーソーゲーム」です。
- 給料を高くすると…会社の経費が増えるので法人税は安くなります。しかし、個人の収入が増えるため、所得税・住民税や社会保険料の負担が急増します。
- 給料を低くすると…個人の税金や社会保険料は軽くなりますが、会社に利益が残り、法人税をしっかり払うことになります。
この記事の目的は、この複雑な問いに「正解は〇〇万円です」と答えることではありません。法律や税金の「絶対に守るべきルール」をきっちり押さえた上で、あなたとあなたの会社にとって「最適解」を見つけるための、あらゆる角度からのヒントを提供することです。
世の中の社長はいくら貰っているのか?銀行や税務署はあなたの給料をどう見ているのか?仲間と始めた会社なら、給料は同額がいいのか?リアルな失敗談まで、この記事を読めば、役員報酬が会社の成長とあなたの資産形成を両立させるための「最強の戦略ツール」であることが、きっとご理解いただけるはずです。
まずはここから!役員報酬の「破れないルール」
戦略的にベストな給料額を考える前に、絶対に知っておかなければならない法律と税金の厳格なルールがあります。この手続きや期限を甘く見ると、せっかく決めた給料が経費として認められず、後からとんでもない額の税金を請求される…なんてことになりかねません。
すべての戦略の土台となる、この「破れないルール」から見ていきましょう。
1. 一人会社でも「独断」はNG!給与決定の公式手続き
法律上、役員報酬は「定款または株主総会の決議によって定める」と決められています。社長がたった一人の株主である「一人会社」の場合、「自分で自分の給料を決めるだけなのに、会議なんて形式だけでしょ?」と感じるかもしれません。
しかし、この「形式」こそが、あなたの会社とあなた自身を守るために、ものすごく重要なのです。
「株主総会議事録」という最強のお守り
株主総会の議事録は、ただの社内メモではありません。これは、あなたの給料が「正規の手続きを経て、正しいタイミングで決められましたよ」ということを証明する、唯一無二の公的な証拠になります 4。
もし税務調査が入った場合、調査官は必ずこの議事録があるかどうかをチェックします。議事録がなかったり、内容が不十分だったりすると、「この給料の決め方は不透明だ」と判断され、経費として認められず、ペナルティの税金を課される大きな原因になってしまうのです。
一人会社の社長にとって、このプロセスは「株主である自分」が「社長である自分」の給料を承認するという、いわば一人二役の芝居のようなものです。しかし、この役割分担をきちんと記録に残すことが、税務調査官というたった一人の観客に対して、その決定の正しさを証明する唯一の方法なのです。
必ず守るべき3ステップ
役員報酬を決めたり、変更したりするときは、必ず以下のステップを踏んでください。
- 株主総会を開く
たとえ一人でも、株主総会を開き、「役員の給料をいつから、いくらにします」という議題を決議します。 - 議事録を作る
いつ、どこで、誰が出席し、何を決めたのかを詳しく書いた議事録を作成し、大切に保管します。具体的な書き方は、この記事の最後にある付録Aのテンプレートを参考にしてください。 - 取締役会で配分を決める(必要な場合)
もし株主総会で「役員報酬の総額」だけを決めた場合は、その枠内で各役員にいくらずつ配分するかを取締役会などで決めます。この場合も、取締役会の議事録が必要です。
2. タイムリミットは超厳守!見逃せない重要デッドライン
役員報酬のルールで最も厳しいのが「時期」のルールです。この期限を1日でも過ぎると、致命的な税金リスクにつながります。
新しい会社は「設立から3ヶ月」が勝負!
会社を新しく作った場合、最初の役員報酬は会社設立日から3ヶ月以内に決めなければなりません。この期限を過ぎてから決めてしまうと、その年度に支払った給料の全額が経費として認められない可能性があります。
既存の会社は「事業年度スタートから3ヶ月」が勝負!
すでに事業を行っている会社が給料を変更(増額・減額)できるのは、原則として事業年度が始まってから3ヶ月以内だけです。例えば、3月決算の会社なら、4月1日から6月30日までの間に開く株主総会で決める必要があります。
ここで大事なのは、「3ヶ月以内」というのは、給料の支払いを始める日ではなく、「給料の額を変えます」と決議した日(株主総会の日付)を指す、という点です。
期限を過ぎてしまったらどうなる?
もし事業年度開始から4ヶ月目以降に給料を変えてしまうと、税務署は「会社の利益を見ながら給料を操作して、不当に税金を安くしようとしているな?」と判断します。これを防ぐために、厳しいペナルティが待っています。
- 給料を上げた場合
期限後に上げた場合、上げる前の金額がその年の正式な給料と見なされます。つまり、上げた分の差額は、その年度が終わるまでずっと経費として認められません。 - 給料を下げた場合
逆に下げた場合は、下げた後の金額が正式な給料と見なされます。この場合、年度の初めから給料を下げるまでの期間に支払った「高い給料」と「下げた後の給料」の差額分が、経費として認められなくなります。
これらのルールは、社長の給料を家賃や水道光熱費のような「予測できる固定費」として扱い、経営者に計画的な会社運営を求める、という税金の基本的な考え方から来ています。
3. 給料を経費にするための3つの道
社長の給料を経費(税務上の言葉で「損金」と言います)にするには、主に以下の3つの方法があります。一人会社や小さな会社の場合、ほとんどが1つ目の方法を選ぶことになるでしょう。
道1:定期同額給与(毎月決まった額を支払う)
これは、一人会社や小さな会社にとって最も一般的でシンプルな方法です。簡単に言うと、「毎月、決まった日に、決まった金額を支払う」月給スタイルです。この方法なら、税務署に事前の届出をする必要もありません。
道2:事前確定届出給与(ボーナスを支払う)
役員にボーナスを支給して、それも経費にしたい場合に使う方法です。これを利用するには、「誰に、いつ、いくら支払うか」を事前にきっちり決めて、「事前確定届出給与に関する届出書」という書類を税務署に提出する必要があります。
この方法は非常に厳しく、届け出た支払日や金額が1日でも、1円でもズレてしまうと、そのボーナスの全額が経費として認められなくなります。年度末の利益がかなり正確に読める場合などに使える、強力ですが柔軟性には欠ける方法です。
道3:業績連動給与(小さな会社には非現実的)
会社の利益などの業績に連動して給料が変わる仕組みですが、これを経費にするには非常に厳しい条件があり、一人会社や小さな会社が利用するのは現実的ではありません。
社長のジレンマ:結局、いくら貰うのが一番おトク?
さて、守るべきルールがわかったところで、いよいよ本題です。「結局、自分の給料はいくらにするのが一番賢いのか?」。
この章では、会社の税金、個人の税金、そして社会保険料という3つの要素が複雑に絡み合うパズルを解き明かし、あなたと会社の両方にとって、手元に残るお金が最大になる「スイートスポット」を見つけるための考え方とツールをご紹介します。
1. 会社と個人、どっちにお金を残す?壮大なるシーソーゲーム
役員報酬の額を決めることは、突き詰めると「会社にお金を残すか、個人(社長)にお金を残すか」という選択です。そして、そこにははっきりとしたトレードオフ、つまり「シーソー」のような関係が存在します。
シーソー効果を理解しよう
この関係は、まさに公園のシーソーです。
- 役員報酬を高くする(個人側を重くする)と、会社の経費が増えて利益が減るので、法人税は安くなります。
- しかし、その分、個人の所得が増えるので、所得税と住民税が重くなります。特に所得税は、稼げば稼ぐほど税率が上がる「累進課税」なので、この影響はかなり大きいです。
税率の「逆転現象」を見極める
このシーソーの傾きを決めるのが、法人税率と個人の所得税率の差です。資本金1億円以下の小さな会社の場合、会社の利益のうち年間800万円以下の部分には15%という低い法人税率が適用されます(2027年3月31日までに開始する事業年度まで)。一方、個人の所得税率は5%から始まり、所得が増えるにつれて最大45%まで上がっていきます。
つまり、給料が低い水準では個人の税率の方が安いですが、給料を上げていくと、あるポイントで個人の税率が法人税率を追い越す「逆転現象」が起こります。会社と個人を合わせたトータルの税負担が最も軽くなる「スイートスポット」は、多くの場合、この税率が逆転するあたりの金額にあるのです。
2. 意外と大きい!社会保険料という名の「見えないコスト」
会社を作って社長になると、多くの人がその負担の大きさに驚くのが社会保険料です。これは単なる税金ではなく、給料を決める上で絶対に無視できない、非常に大きなコストです。
加入は義務!計算の仕組みを知ろう
会社を作ったら、たとえ社長一人でも、健康保険と厚生年金保険への加入が法律で義務付けられています。
社会保険料は、実際の給料額そのものではなく、「標準報酬月額」という給料のランク(等級)に基づいて計算されます。このランクは一定の幅があるので、少し給料を上げても保険料は変わらない一方、ランクの境界線をまたぐと、保険料がガクンと上がることがあります。
会社と個人で半分ずつ負担
計算された社会保険料は、会社と個人が半分ずつ負担します(労使折半)。会社が負担する分は経費になりますが、会社のキャッシュを確実に減らす固定費です。個人が負担する分は給料から天引きされ、手取り額が直接減ることになります。
会社と個人の合計負担率は、なんと給料の約30%にも達します。給料を上げるときは、この負担増もセットで考えなければなりません。
最低額のワナと、上限の存在
給料をものすごく低く設定しても、社会保険料には最低ランクに基づく下限があります。例えば、月給を5万円にしても2万円にしても、最低ランクの範囲内なら払う保険料は同じです。つまり、ある一定額以下に給料を下げても、社会保険料の節約にはなりません。
逆に、給料が非常に高くなると、標準報酬月額には上限が設定されているため、ある金額を超えると保険料はそれ以上増えなくなります。これは、将来的に会社が大きく成長したときの給与戦略で役立つ知識です。
3. シミュレーションで発見!あなただけの「最適報酬額」
理論はもう十分??ここからは、具体的な数字を使って、あなたにとっての最適な給料額を探すシミュレーションをしてみましょう。これを使えば、難しい話が「使える意思決定ツール」に変わります。
シミュレーションの目的とやり方
ここでのゴールは、給料の額を色々変えてみたときに、「会社に残るお金」と「あなたの手取り額」の合計、つまり「会社と個人、合わせて最終的に自由に使えるお金」が一番多くなるのはどのパターンか?を明らかにすることです。
計算は以下のステップで行います。
- まず、あなたの給料を支払う前の、会社の年間利益を予測します。
- 給料のパターンをいくつか設定します(例:月額20万円、30万円、50万円…)。
- それぞれのパターンで、会社が負担する社会保険料を計算します。
- 会社の残りの利益を計算し、そこから法人税を算出します。
- それぞれのパターンで、あなたが負担する社会保険料、所得税、住民税を計算し、あなたの手取り額を算出します。
- 最後に、「法人税を払った後に会社に残るお金」と「あなたの手取り額」を足し算し、どのパターンが一番合計額が大きくなるか比較します。
シミュレーション具体例①:利益1,500万円の場合
このシミュレーション表は、この記事で最も重要な分析の一つです。ぜひご自身の状況に当てはめて考えてみてください。
表2.1: 役員報酬額別 法人・個人トータルキャッシュフローシミュレーション
- 前提条件: 役員報酬支払い前の法人利益1,500万円、社長は40歳未満、東京都、扶養家族なし。
役員報酬 (年額) | 法人負担 社会保険料 | 法人利益 | 法人税等 | 法人残存 キャッシュ | 個人負担 社会保険料 | 所得税・ 住民税 | 個人手取り額 | 合計キャッシュ (法人+個人) |
240万円 | 約34万円 | 1,226万円 | 約260万円 | 約966万円 | 約34万円 | 約12万円 | 約194万円 | 約1,160万円 |
360万円 | 約51万円 | 1,089万円 | 約230万円 | 約859万円 | 約51万円 | 約22万円 | 約287万円 | 約1,146万円 |
480万円 | 約70万円 | 950万円 | 約200万円 | 約750万円 | 約70万円 | 約35万円 | 約375万円 | 約1,125万円 |
600万円 | 約85万円 | 815万円 | 約125万円 | 約690万円 | 約85万円 | 約51万円 | 約464万円 | 約1,154万円 |
1,200万円 | 約171万円 | 129万円 | 約19万円 | 約110万円 | 約171万円 | 約214万円 | 約815万円 | 約925万円 |
注: 上記は概算値であり、実際の税額や保険料は各種控除や料率により変動します。
このシミュレーションから、この条件下では役員報酬を年額240万円(月額20万円)に設定した際に、法人と個人の合計キャッシュが最大化されることがわかります。報酬を増やすにつれて、法人税の節税効果よりも、個人の所得税・社会保険料の負担増のデメリットが上回り、全体のキャッシュが減少していく様子が明確に見て取れます。
特に、会社の利益が800万円を下回る役員報酬600万円のケースでは、法人税率が大幅に下がるため、合計キャッシュが一時的に増加する「スイートスポット」が存在することが示唆されます。
シミュレーション具体例②:利益600万円の場合
次に、会社の利益がもう少し控えめな場合のシミュレーションも見てみましょう。
表2.2: 役員報酬額別 法人・個人トータルキャッシュフローシミュレーション
- 前提条件: 役員報酬支払い前の法人利益600万円、社長は40歳未満、東京都、扶養家族2人。
役員報酬 (年額) | 法人負担 社会保険料 | 法人利益 | 法人税等 | 法人残存 キャッシュ | 個人負担 社会保険料 | 所得税・ 住民税 | 個人手取り額 | 合計キャッシュ (法人+個人) |
240万円 | 約34万円 | 326万円 | 約72万円 | 約254万円 | 約34万円 | 約2万円 | 約204万円 | 約458万円 |
360万円 | 約51万円 | 189万円 | 約42万円 | 約147万円 | 約51万円 | 約12万円 | 約297万円 | 約444万円 |
480万円 | 約70万円 | 50万円 | 約11万円 | 約39万円 | 約70万円 | 約23万円 | 約387万円 | 約426万円 |
600万円 | 約85万円 | -85万円 | 0円 | -約85万円 | 約85万円 | 約37万円 | 約478万円 | 約393万円 |
注: 上記は概算値であり、実際の税額や保険料は各種控除や料率により変動します。扶養家族がいるため、個人の税負担は表2.1のケースより軽くなります。
会社の利益が600万円の場合、役員報酬を低く抑えることのメリットがさらに顕著になります。このケースでも、年収240万円(月額20万円)が、会社と個人の合計キャッシュを最大化する選択肢となります。報酬を増やすと、会社の利益がすぐに圧迫され、赤字に転落してしまうリスクがあることもわかります。
2.4. 会社に残すか、個人で持つか?「内部留保」という名の戦略
シミュレーションは税金面での最適解を示してくれますが、最終的な決定にはもう一つの大事な視点が必要です。それは、「お金を会社の貯金(内部留保)として蓄えるか、個人の給料として受け取るか」という、会社の未来を考えた戦略的な判断です。
会社にお金を残すメリット(低めの給料設定)
税金を払った後の利益を会社に残す「内部留保」を増やすことには、こんなメリットがあります。
- 会社の体力がつく
会社の財務体質が強くなり、決算書の見栄えが良くなります。これにより、銀行からの信用が高まり、融資を受けやすくなります。 - 未来への投資と安定
景気が悪くなった時や予期せぬトラブルに備えるためのクッションになります。また、新しい設備投資や事業拡大のための資金にもできます。 - 将来の退職金として受け取る
長年かけて貯めた内部留保は、将来、あなたが退職するときに「役員退職金」として受け取ることができます。退職金は、毎月の給料よりも税金が非常に優遇されており、社会保険料もかからないため、効率よく会社の資産を個人に移すことができます。
会社にお金を残すデメリット(低めの給料設定)
一方で、会社にお金を集中させることには、こんなデメリットも。
- 個人の自由度が下がる
社長個人の手元資金が少なくなり、プライベートでの生活や資産形成の自由度が下がります 44。 - 「役員貸付金」発生のリスク
生活費が足りなくなり、つい会社からお金を「借りて」しまうことがあります。これが決算書に「役員貸付金」として載ってしまうと、銀行や税務署から「公私混同している会社だ」と非常に厳しく見られ、融資審査で大きなマイナスになります。 - お金が固定化される
会社にあるお金は、あくまで会社のもの。社長が自由に使いたくても、給料や配当といった税金のかかる手続きを踏まないと引き出せません。
結局のところ、ベストな給料額は、シミュレーションでわかる税金上の最適ポイントと、あなたが描く「会社の成長プラン」と「個人のライフプラン」のバランスを取って決めるべきものなのです。
みんなはいくら貰ってる?社長の給料のリアルな相場観
理論やシミュレーションで自分にとっての最適額を考えるのは大切ですが、その金額が世間一般の相場から大きくズレていないかを確認することも、客観的な判断のために必要です。
この章では、公的なデータや実態調査をもとに、他の小さな会社の社長たちが実際にどれくらいの給料をもらっているのか、そのリアルな数字を見ていきましょう。
1. 公的データから見る全体像:平均値の裏に隠された小さな会社の実態
役員報酬に関する最も信頼できるデータの一つが、国税庁が毎年発表している「民間給与実態統計調査」です。この調査から、会社の資本金規模ごとの役員報酬の平均額がわかります。
最新の令和5年分調査によると、資本金2,000万円未満の会社における役員報酬の平均額は年間約634万円です。しかし、この「平均634万円」という数字だけを見て「じゃあ自分もそのくらいかな」と考えるのは少し早いかもしれません。
もっと大事なのは、その内訳です。同じ調査を詳しく見ると、資本金2,000万円未満の会社のうち、役員報酬が年間600万円以下の人が全体の約64%もいるという事実がわかります。つまり、この規模の会社の社長の3人に2人近くは、月給50万円以下というのがリアルな姿なのです。
平均値の約634万円は、一部の高額報酬をもらっている社長によって引き上げられている可能性があり、多くの社長にとっての現実的な水準は、平均値よりも低いゾーンにあると言えそうです。
残念ながら、国税庁のデータでは資本金2,000万円未満をさらに細かく(例えば1,000万円未満など)分けた統計はありません。しかし、この分布データは、平均値という一つの数字だけでは見えない、小さな会社の社長のリアルな懐事情を理解する上で、非常に重要なヒントになります。
表3.1: 資本金規模別の平均役員報酬(令和5年分調査より)
資本金規模 | 平均役員報酬 |
2,000万円未満 | 634.4万円 |
2,000万円以上 | 940.4万円 |
5,000万円以上 | 1,147.7万円 |
1億円以上 | 1,380.9万円 |
10億円以上 | 1,946.3万円 |
出典: 国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」を基に作成
2. よりリアルな指標:会社の利益と給料の深い関係
資本金の大きさよりも、もっとリアルな指標となるのが、会社の利益です。当然ですが、たくさん利益を出している会社ほど、社長の給料も高くなる傾向があります。ある会計事務所が1,314社の中小企業を対象に行った調査は、この関係をはっきりと示しています。
表3.2: 経常利益別の社長の平均年収
経常利益 | 社長の平均年収 |
250万円未満 | 約550万円 |
250万円~500万円 | 約680万円 |
500万円~750万円 | 約900万円 |
750万円~1,000万円 | 約950万円 |
1,000万円~2,000万円 | 約1,200万円 |
出典: 株式会社古田土経営による調査データを基に作成
この調査からは、いくつかの重要なことが読み取れます。
- 最も会社数が多いボリュームゾーンである、経常利益250万円未満の会社の社長の平均年収は約550万円(月額約45万円)です。
- 社長の給料が月額100万円(年収1,200万円)という一つの大台を超えるには、会社として少なくとも年1,000万円以上の経常利益を上げているのが一般的だと言えそうです。
これらのデータは、自分の会社の利益水準に見合った給料額を設定する上で、とても実践的な目安になります。
3. スタートアップ創業者のリアル:成長最優先の給与哲学
一方で、ベンチャーキャピタル(VC)などから資金調達をして急成長を目指すスタートアップの世界では、役員報酬の考え方が全く異なります。
ここでの一番の目的は、個人の手取りを最大化することではなく、事業を成長させるための運転資金を1日でも長く確保することです。
創業初期(シード期)の報酬
創業したばかりのスタートアップ経営者の給料は、事業が軌道に乗るまでなんとか生活できる「最低限の金額」に設定されるのが普通です。
実際の創業者インタビューでは、月額8万円や、東京で文化的な生活ができる最低ラインとして月額25万円といったリアルな声が聞かれます。
これは、自分の給料を抑えることで会社の資金を守り、事業に再投資して「挑戦できる回数を増やす」という、極めて戦略的な判断なのです。
成長期(シリーズA以降)の報酬
大きな資金調達に成功した後は、役員報酬を大幅に引き上げるケースが多くなります。これには、それまでの苦労に報いるという意味もありますが、もう一つ、「経営者が目先の買収話などに安易に飛びつかないようにする」という戦略的な理由もあります。
VCなどの投資家は、創業者の役員報酬を厳しく見ています。事業計画に対して高すぎる給料は、成長意欲がないと見なされ、投資を受ける上でマイナスに働く可能性もあるのです。
このように、社長の給料の相場は、あなたの会社が安定した利益を目指すスモールビジネスなのか、急成長を目指すスタートアップなのかによって、全く異なります。自分の会社の立ち位置をしっかり見極めて、適切なベンチマークを参考にすることが大切です。
第三者の視点:税務署と銀行はあなたの給料をどう見るか?
税金面で最適化され、世間の相場から見ても妥当な給料額。しかし、その金額が外部の利害関係者、特に税務署や銀行に「おや?」と思われてしまっては、元も子もありません。
この章では、あなたの給料が、税務調査や融資審査といった会社の将来を左右する場面で、どのように評価されるのかを解説します。
1. 税務調査官はここを見ている!「経費として認めません」のリスク
たとえすべての手続きを正しく踏んでいても、税務署があなたの役員報酬を「不相当に高額だ」と判断した場合、その高すぎると判断された部分を経費として認めない権限を持っています。
これは、給料という名目で、実質的に会社の利益を不当に個人に移している(配当と同じ)と見なされるケースです。
税務調査で狙われやすい「危険信号」
税務調査官が「高すぎるのでは?」と疑いの目を向ける、典型的な危険信号は以下の通りです。
- 急すぎる不自然な増額
売上や利益、仕事内容が去年と大して変わらないのに、給料だけが倍になるなど、急激に上がっているケースは、利益調整を疑われる最大の原因です。 - 高すぎる給料で会社が赤字に
社長に高額な給料を払った結果、会社が赤字になっている場合、「会社の体力を削って個人にお金を移している」と見なされやすくなります。 - 業界の相場から大きくかけ離れている
同じ業種・同じ規模の会社の給料と比べて、あまりにも高すぎる場合は、その理由を合理的に説明する必要があります。 - 働いていない家族への高額な給料
会社の仕事にほとんど関わっていない親族を役員にして、高額な給料を支払うのは、経費として否認される典型的なパターンです。
暗黙の「安全圏」は存在する?
法律で「〇〇万円以上はダメ」と決まっているわけではありませんが、これまでの裁判例や実務上の感覚から、年間1,000万円から1,200万円くらいまでの役員報酬であれば、社長としての仕事をきちんとこなしている限り、「不相当に高額」と判断されるリスクは非常に低いと考えられています。
この水準を超えると、税務署からのチェックが一段と厳しくなると考えておくと良いでしょう。
2. 銀行員はこう評価する!融資審査と役員報酬のウラ側
銀行から融資を受けたいと考えているなら、役員報酬の額は審査結果を左右する超重要項目です。
ここで多くの社長が陥るのが、「給料は低い方が、会社の利益が多く見えて有利だろう」という、実は致命的な勘違いです。
給料が「低すぎる」ことの危険性
実際には、不自然に低い役員報酬は、銀行に次のような深刻な疑念を抱かせます。
- 疑念1:「見せかけの黒字」じゃないか?
銀行の担当者は、決算書の数字をそのまま信じません。役員報酬が極端に低いと、「本当は社長に払うべき給料を削って、無理やり黒字に見せかけているだけでは?」と疑います。
そして、担当者の頭の中で、その地域で生活するのに妥当な役員報酬額(例えば年500~600万円)を差し引いて、会社の「本当の」利益を再計算します。この再計算で会社が赤字になってしまうと、融資は非常に難しくなります。 - 疑念2:社長自身が会社の将来に自信がないのでは?
役員報酬の額は、社長自身が「自分の会社は将来これくらいのお金を生み出せる」と考えているかの表れと見なされます。給料を極端に低くしていることは、「社長自身が、安定して自分の給料を払い続けられる自信がないことの証明だ」と解釈され、事業の将来性を不安視されます。 - 疑念3:社長はどうやって生活しているんだ?
社会の常識から見て、生活が難しいほどの低い給料(例えば月10万円など)だと、「社長の生活費はどこから出ているのか?」という疑問が生まれます。個人の貯金を取り崩しているのかもしれませんが、銀行としては「会社とは別に個人で多額の借金があるのでは?」「生活費を補うために、会社から不透明なお金を引き出しているのでは?」と、社長個人の信用問題にまで発展しかねません。
「役員貸付金」という決算書の地雷
給料が低すぎることによって起こる最悪のシナリオが、「役員貸付金」の発生です。生活費が足りなくなった社長が、会社から「借りる」という形で安易にお金を引き出すと、決算書の資産の部に「役員貸付金」が計上されます。
銀行は、この役員貸付金を「回収できない不良債権」と見なし、資産価値ゼロとして評価します。これは、会社のお金と個人のお金がごちゃ混ぜになっている証拠であり、会社の管理体制が甘いことの象徴と見なされるため、融資審査では致命的なマイナス評価となります。
個人の住宅ローンなどにも影響大!
低い役員報酬は、会社の融資だけでなく、社長個人の信用にも直接影響します。銀行は、経営者の収入をサラリーマンの給与に比べて不安定なものと見る傾向があります。低い給料は、この不安定さをさらに強調し、住宅ローンなどの個人向け大型ローンの審査を非常に難しくします。
結論として、役員報酬は税金のことだけを考えて決めるべきではありません。それは、税務署や銀行といった外部の人たちに対して、あなたの会社の健全性、経営者としての自信、そして管理能力を伝える、強力なメッセージなのです。
こんな時どうする?特殊なケースとよくある失敗談
最後の章では、仲間との共同経営や、会社の状況が変わった時など、少し特殊なケースへの対応策を解説します。また、多くの社長がやってしまいがちな典型的な失敗例から、「これだけはやってはいけない」というポイントを学び、あなたの会社経営に役立ててください。
1. 仲間と起業するなら要注意!パートナーとの給料設定
複数の創業者で会社を立ち上げる場合、役員報酬の決め方は最もデリケートで、将来の仲間割れの最大の火種になり得る問題です。創業当初は「公平だ」と思っていた配分も、時間が経ち、それぞれの役割や会社への貢献度が変わってくることで、不満の原因になることが少なくありません。
公平なルール作りのフレームワーク
後々のトラブルを避けるためには、最初の給料額だけでなく、給料を決めるための「プロセス」と「考え方」について、事前にとことん話し合い、合意しておくことが何よりも重要です。具体的には、以下の点をはっきりさせておきましょう。
- 「平等」か「公正」か
全員の給料を同じ額にするのか、それともCEOや技術責任者といった役割、責任の重さ、最初に出したお金の額などに応じて差をつけるのか。 - 客観的な基準を持つ
「頑張り」といった主観的な評価ではなく、それぞれの役割の市場価値(同じような仕事内容の社員の給与など)や、責任の範囲といった、誰もが納得できる客観的な基準を設けることが望ましいです。 - 定期的に見直す機会を設ける
毎年、事業年度が始まった後の同じタイミングで、合意したルールに基づいて給料を正式に見直す場を設ける。
「共同経営契約書」の重要性
口約束は、後で「言った」「言わない」のトラブルの元です。事業を始める前に、弁護士などの専門家にも入ってもらい、正式な「共同経営契約書」を作っておくことを強くお勧めします。
この契約書には、給料を決める基本方針、変更するときのルール、そして万が一意見が対立してしまった場合の解決方法などを明確に書いておくべきです。
この契約書を作るプロセス自体が、お互いの期待値をすり合わせ、信頼関係を確かめる良い機会にもなります。
2. 転ばぬ先の杖:先輩経営者の失敗から学ぶ教訓
役員報酬の決定で、多くの社長が犯してしまう失敗には、いくつかの典型的なパターンがあります。これらの「あるある」な失敗談から学ぶことで、高くつく授業料を払わずに済みます。
- 「楽観的すぎる創業者」
「売上はきっとこれくらい行くだろう!」という希望的観測で、高すぎる給料を設定。しかし計画通りに売上が伸びず、固定費となった高い給料が会社の資金繰りを圧迫。結果、資金がショートするか、税金的に不利な年度の途中での給料減額をせざるを得なくなる。 - 「見せかけの利益最大化屋」
銀行融資のために、自分の給料をゼロに近い額に設定し、決算書上の利益を大きく見せる。しかし、経験豊富な銀行の担当者はこの操作を見抜き、むしろ社長の生活基盤の不安定さや、会社の本当の収益力の低さを問題視し、融資を断る。 - 「手続きを軽視する社長」
「一人会社だから」という理由で、株主総会や議事録の作成を省略。数年後の税務調査で、過去数年分の給料がまとめて経費として認められず、多額の追徴課税と延滞税の支払いに苦しむ。 - 「安易な借り手」
低く設定した給料では生活できず、会社から安易にお金を引き出してしまい、決算書に多額の「役員貸付金」が計上される。これが原因で会社の信用が下がり、いざという時に融資が受けられなくなる。
3. 給料は変えられる?変更がOKな時、NGな時
役員報酬は一度決めたら1年間は変えられないのが大原則ですが、いくつかの例外的な状況では、年度の途中でも変更が認められることがあります。
原則:事業年度スタートから3ヶ月以内の年次見直し
給料を見直す基本のタイミングは、事業年度が始まってから3ヶ月以内に開かれる株主総会での決議です。これが、理由を問われずに給料額を変更できる唯一のチャンスです。
例外:年度の途中でも変更が認められるケース
以下の特別な理由がある場合は、年度の途中でも変更が認められ、変更後の給料も経費にすることができます。ただし、これらは安易な利益調整のための抜け道ではありません。
- 役職や仕事内容に大きな変更があった時
例えば、取締役が代表取締役に昇格した場合の増額や、病気で長期入院して仕事ができなくなった場合の減額などがこれにあたります。単に肩書が変わっただけでなく、責任や仕事内容に実質的な変化が必要です。 - 会社の経営が著しく悪化した時
例えば、主要な取引先が倒産した、自然災害で大きな被害を受けたなど、会社の経営が誰の目から見ても非常に悪化し、給料を下げざるを得ない客観的な状況がある場合です。単に「思ったより儲からなかった」という理由では認められません。
役員報酬の厳格なルールは、社長に対して、最初の給料決定が「今後1年間の会社の業績に対する、後戻りできない約束」であることを意味します。この決定の重みを理解し、楽観的な予測ではなく、現実的な計画に基づいて金額を設定することが、長期的な成功への第一歩です。
結論:あなたの給料は、会社の未来を映す鏡
一人会社や小さな会社の社長にとって、役員報酬を決めることは、単に自分の取り分を決める作業ではありません。この記事で見てきたように、それは税金、財務、法律、そして外部からの信用という、様々な要素が複雑に絡み合う、非常に高度な戦略的意思決定なのです。
この重要な判断を下すにあたり、以下の基本原則を常に心に留めておいてください。
- ルールは絶対に守る
株主総会の開催と議事録の作成、そして「事業年度スタートから3ヶ月以内」という変更時期の厳守。これらの手続きは、すべての戦略の土台です。ここを疎かにすると、どんなに素晴らしい計画も台無しになります。 - シミュレーションで最適解を探る
「会社の税金」と「個人の税金・社会保険料」のシーソー関係を理解し、シミュレーションを通じて「会社と個人の合計手取り額」が最大になるポイントを探すことが、合理的な金額設定の第一歩です。 - 「外からの目」を意識する
決めた給料額が、税務調査官には「妥当な経費」として、銀行員には「健全な経営の証」として映るかを常に考える必要があります。特に、低すぎる給料が融資審査で致命傷になり得ることは、決して忘れないでください。 - 長期的な視点を持つ
目先の税金だけでなく、会社の「内部留保」をどう貯めて、将来の成長投資やあなた自身の退職金にどう繋げるかという、長期的な視点で役員報酬を考えることが重要です。
最終的に、役員報酬とは、社長であるあなたが使える、最も強力な戦略的ツールの一つです。その金額は、会社の収益性、資金繰りの安定性、外部からの信用力、そして仲間との関係性まで、事業のあらゆる側面に影響を及ぼします。
だからこそ、この決定には、新しい製品を開発したり、新しい顧客を開拓したりするのと同じくらいの真剣さと戦略的な思考で臨むべきです。
そして、税金の制度や会社の状況は常に変わります。定期的に信頼できる税理士などの専門家に相談し、会社の成長に合わせて役員報酬戦略を柔軟に見直していくことが、あなたの会社を持続的な成功へと導く確かな道筋となるでしょう。
付録
A. 株主総会議事録(役員報酬決定)テンプレート(一人会社用)
一人会社が役員報酬を決定・変更する際に使用できる、株主総会議事録の基本的なテンプレートです。実際の状況に合わせて適宜修正してご使用ください。
臨時(または定時)株主総会議事録
- 開催日時: 令和〇〇年〇〇月〇〇日 午前〇〇時〇〇分
- 開催場所: 当社本店(または、東京都〇〇区〇〇…)
- 株主の状況
- 株主の総数: 1名
- 発行済株式の総数: 〇〇株
- 議決権を行使することができる株主の数: 1名
- 議決権を行使することができる株主の議決権の数: 〇〇個
- 出席株主数: 1名
- 出席株主の議決権の数: 〇〇個
- 出席役員: 代表取締役 〇〇 〇〇 (議長兼議事録作成者)
以上のとおり、総株主の同意に基づき、会社法第319条第1項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた。また、報告事項についても全株主に対して通知されたため、本株主総会は有効に成立した。
決議事項
第1号議案 役員報酬額改定(または決定)の件
議長より、当社の当事業年度(令和〇〇年〇〇月〇〇日から令和〇〇年〇〇月〇〇日まで)における取締役の報酬について、下記のとおりとしたい旨の提案があり、その理由が説明された。
記
- 対象役員及び報酬額
- 代表取締役 〇〇 〇〇: 月額 金〇〇〇,〇〇〇円
- 適用時期
- 令和〇〇年〇〇月支給分より適用する。
本議案につき、議決権を行使できる株主の全員から書面による同意の意思表示があったため、本議案は原案どおり可決確定したものとみなされた。
以上、本日の議事を終了する。
上記の決議を明確にするため、本議事録を作成し、議長がこれに記名押印する。
令和〇〇年〇〇月〇〇日
〇〇〇〇株式会社
代表取締役 〇〇 〇〇 ㊞
B. 創業者向け役員報酬決定チェックリスト
カテゴリ | チェック項目 | 確認 |
手続き・法務 | □ 役員報酬の決定/変更は、期首(設立日)から3ヶ月以内か? | |
□ 株主総会を開催し、報酬額を決議したか? | ||
□ 詳細な内容を記載した株主総会議事録を作成・保管したか? | ||
財務・税務 | □ 会社の利益予測を立て、無理のない金額設定か? | |
□ 法人税と個人の所得税・住民税・社会保険料のトータル負担をシミュレーションしたか? | ||
□ 社会保険料の負担額(法人・個人双方)を正確に把握しているか? | ||
□ 損金算入が認められる支給方法(定期同額給与など)を選択しているか? | ||
戦略 | □ 設定した報酬額で、個人の最低限の生活費は確保できるか?(役員貸付金のリスクはないか?) | |
□ 会社の成長に必要な内部留保とのバランスは取れているか? | ||
□ 将来の役員退職金の活用も視野に入れているか? | ||
外部評価 | □ 金融機関から見て「利益操作」や「経営不安」と見なされるほど低すぎないか? | |
□ 税務署から「不相当に高額」と指摘されるリスクのある金額ではないか?(業界水準との比較) | ||
□ 共同経営者がいる場合、報酬の決定プロセスと基準について明確な合意があるか? | ||
専門家 | □ 最終決定の前に、顧問税理士に相談したか? |
C. 主要な公的情報源
- 国税庁(National Tax Agency): 法人税法や所得税法に関する情報、確定申告の手引き、民間給与実態統計調査などの公式データが公開されています。
- 全国健康保険協会(協会けんぽ): 健康保険・厚生年金保険の保険料額表や加入手続きに関する情報が掲載されています。
- 日本年金機構(Japan Pension Service): 厚生年金保険に関する詳細な情報や手続きについて確認できます。